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[ SF/ファンタジー ]
ピアリス
萩尾望都 出版月: 2017年07月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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河出書房新社
2017年07月

No.1 6点 糸色女少 2022/11/27 23:20
十歳のユーロ少年が断片的だった過去の記憶を再構成して、妹のピアリスのことを思い出す。五年前、二人は故郷を追われ、離れ離れになった。難民として他の星の修道院に引き取られたユーロは、謎めいた教師に出会い、近い未来に起こる悲劇のビジョンを見てしまう。一方、過去が見えるピアリスは、ユーロとは違う惑星の貧困層が集まる島で育つ。
ユーロとピアリスには過去と未来にまつわる特殊な能力があるのに、彼ら自身の過去は奪われ、未来を選ぶ自由も与えられていない。過酷すぎる現在と格闘する人に、世界はどんな風に見えるのか。透明度が高く傷つきやすい子供の目を通して描いている。自然災害、性的虐待、戦争など思い要素もある。二人とも大切な友達を失う。ただ悲しいだけではなく、かけがえのない愛に巡り合うところがいい。
未完のままなのは残念だが、東南アジアやルネサンスの文化をヒントにしたという世界観は魅力的で、話の続きを想像するのは楽しい。


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