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[ 本格/新本格 ] 南極殺人事件 |
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| 竹谷正 | 出版月: 2020年01月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
![]() 編集工房ノア 2020年01月 |
| No.1 | 4点 | 人並由真 | 2026/08/02 20:17 |
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| (ネタバレなし)
その年の1月中旬。「私」こと観光会社ヤングアース社の若き添乗員・米内きみ子は他の同僚4名とともに、当社が契約した85人の乗客を世話しながら、フランス船籍の旅客船ソレアル号で南極ツァーに向かう。だがきみ子が頭を抱えるのは、彼女と面識のある大阪の老眼科医で、そして迷惑な性格のアマチュア探偵・武原先生がこの旅行に参加していることだった。やがて彼らは、周囲30m四方に何もない氷原で、怪異な密室殺人事件? に遭遇する。 作者・竹谷正は、昭和8年に大阪出身。若い頃は旧「宝石」「別冊宝石」の新人賞にそれぞれ応募して二年連続入賞。同時入賞に多岐川恭がいて、当人の投稿作品は乱歩や正史の賞賛を得たという。その後は実家の医院を継いで創作を離れたが、後年には「幻影城」の新人賞に応募して再デビュー。泡坂、連城、栗本と年齢こそ違え同輩であり同誌の周辺組織「影の会」にも参加。竹本、田中(李家)たちとも兄貴分的な立場からの交流もしていたというから錚々たる経歴である。 本作は2022年に80代末で逝去した作者が、本人の晩年の南極旅行の記録を踏まえながら2020年に書き下ろした作品。とはいえ版元が「編集工房ノア」!? 自費出版の同人本会社か? と思ったら、一応は印刷費も紙代も流通費も宣伝代も負担する出版社だそうである。ただし原稿料は一定部数が売れないかぎり著者に払わないようで、その意味では普通の出版社と自費出版の版元との中間的な組織か。 作者の経歴を一顧し、さらに特殊なロケーションの中での密室殺人!? という大ネタを聞くと、これは最低でもソコソコ面白いだろう! と期待してしまうのだが……本当に、読み進めるのがシンドイ……。 語り手主人公・きみ子の「ですます調」一人称文体はまあ狙った話法なんだろうだし、作者の分身である探偵役の武原のキャラを立てようとする努力は感じるのだが、その双方がエンターテイメントの読み物として効果を上げているかというとう~ん。特に後者は、探偵役をやる気があるのかないのか、隙あらば、別に聞きたくもない南極旅行中の感慨を延々と向こうのマイペースでくっちゃべる感じで、付き合わされるこちらは倦怠感がこみ上げてくる。 級数が大き目の本文で300数十ページだから決して長い紙幅ではないが、途中で何回、作品からの求心力を見失い、本を閉じてネットサーフィンで遊んだか。 で、ロジックも伏線も特になし(後者は、あれがそうだったかというのはある……かも)。 かたや大氷原の密室殺人トリックはバカミス以前のもので、何よりそんなにうまく行くわけ……と思うが、まあしばらく記憶には残り続けるでしょう。 世の中の人が『楽園』だの『「石球城」殺人事件』だの面白そうな作品を楽しんでるのと同じ時に、ナニを読んでるんだ、オレは、という気になったが、おかげさまでとにもかくにも最後まで完読した達成感だけはある。 ただね、ミステリとしては全く評価できないんだけれど、良くも悪くもわがまま? で長編一冊仕上げてしまったその気概というか、作者の胆力は決してキライにはならない。ある意味でうらやましい実績であり成果ではあった。 書き手の自己満足? まあいいじゃないですか(いや、よくないかもしれんけど・笑)。 |
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