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[ 青春ミステリ ] 忘霊ラジオ殺人事件!? |
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戸梶圭太 | 出版月: 2016年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
ポプラ社 2016年12月 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2021/02/06 07:41 |
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(ネタバレなし)
2016年の夏。不倫した妻と別れた、ラジオ局の元ディレクター・藤本道雄。局を退社した彼は再就職がうまくいかないまま、自分の娘で12歳の美少女・ちさとを連れ、道雄の祖母(ちさとのひい祖母)よねが住んでいた離島・八途島にやってきた。島は十数人の老人だけがひっそり暮らす、21世紀の文明ともほど遠い世界。他界したよねが遺した家屋で暮らし始める親子だが、道雄は思い付きで、視聴者すらいるかどうかすらわからない海賊ラジオ放送を始める。だがその放送に混線して、怪異な声が聞こえてきた。 人は良いがダメ父の道雄は副主人公で、実質的な主人公はちさとの方が担当する、そんな父と娘の絆を軸にした、オカルトジュブナイル風冒険ミステリ。ラジオ放送に混じる怪しい声、そして、同一人物か? 別人か? 十数年前から島の山地に出没する怪人の謎、……など怪事の要素を小出しにしながら、島に潜むとある大きな秘密に次第に迫っていく。 実態は、妙な感覚のリアルさがある真相で、そのアイデアというか文芸設定はちょっと面白かった。 物語の舞台として設定された、島全体のいかにもミニスケールな感じも、小学生の頃に近所の寺社の裏側のうっそうとした木陰にはじめて足を踏み入れたときの気分みたいなのを蘇らせて、どこか懐かしいワクワク感を呼び起こしたりした。 ストーリー面ではメインストリームの冒険部分とは別に、さらにまた別のショッキングなサプライズも読者の隙をついて複合的に語られる。大技と小技を組み合わせたヤングアダルト向け作品、あるいはミステリ調ラノベとして、そこそこ楽しめる。 ライトな文体をふくめて、全体的に中学生あたりに向けてリリースされたヤングミステリーという感じだが、甘菓子のなかにゴツゴツしたナッツが入って、それでバランスがとれているような食感の一冊。そう思って読んで、なかなか悪くないかな、というところ。 |