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[ SF/ファンタジー ]
ボーダー 二つの世界
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 出版月: 2019年09月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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早川書房
2019年09月

No.1 7点 小原庄助 2020/02/04 10:45
収められた11の中短編はいずれも異質な存在や異界の気配、恐怖と耽美、生と死の融合が、理知的な筆致で描き出されている。
表題作は、罪や不安を抱いたものを感知する特殊能力を持つティーナの物語。彼女は能力を活用して麻薬などを摘発する税関職員をしていたが、ある男を検査しても何も発見できない。だが、違和感はなかなか去らない。
有能さ故に職場で信頼される一方、落雷で顔に酷い傷が残り、人生を半ばあきらめたような彼女。不穏な男と関わることで、次第に自身のあり方が揺らいでくる。
性別や世間の常識、正常と異常、さらにはこの世界と別世界の境目すら曖昧になっていくこの物語は、ホラーと呼ぶには美しすぎ、ファンタジーというには闇が深い。あるいはそんなジャンル区分も、本書が葬ろうとする「ボーダー」(境界)のひとつかもしれない。
また収録作のひとつ「古い夢は葬って」は、一言でいえば愛の物語だ。「愛は愛である。さまざまな表現の形があるだけだ」という言葉が胸に響く。


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ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
2019年09月
ボーダー 二つの世界
平均:7.00 / 書評数:1