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[ 警察小説 ]
ノース・ガンソン・ストリートの虐殺
S・クレイグ・ザラー 出版月: 2016年09月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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早川書房
2016年09月

No.1 5点 びーじぇー 2020/01/11 11:33
メイン・ストーリーは警官に対する連続殺人だ。それは単独犯によるものではなく、ページの早めの段階で、警察に強い憎しみを持つ、ある犯罪者が首謀者ではないかと見当がついてくる。
刑事ベティンガーは確かに主役なのだけれど、殺されていく者のキャラクター、日々の生活も丁寧に描かれる。どうしてこんな魅力ある警官たちが次々と殺されていくのか、と怒りが湧いてくる。しかも非情で無残、猟奇的要素もある殺人シーンだ。
暴力を描く際、終盤のクライマックス・シーンで一気に爆発する、というパターンを選ぶ作家は多い。しかし本書は違う。一つ一つの殺人が詳細に描かれ、じわじわと確実にクライマックスへ向かうのだ。
本作の警官たちは品など保つ気持ちはさらさらなく、自ら犯罪者のような行動に出ることも辞さない。仲間を殺した首謀者たちに復讐心を抱き、全面戦争へ向かっていく。愛する者が殺されても、暴力で復讐するのは愚かである、と耐えるのが私たちの現実とするならば、本作はその悲しみをダイレクトに代弁、解放してくれている小説と言えよう。


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S・クレイグ・ザラー
2016年09月
ノース・ガンソン・ストリートの虐殺
平均:5.00 / 書評数:1