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[ 警察小説 ]
貌のない貌
梓凪子シリーズ
松嶋智左 出版月: 2019年03月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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講談社
2019年03月

No.1 5点 HORNET 2019/08/06 18:04
 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した、「虚の聖域」の主人公、梓凪子の新人刑事時代の物語。
 梓凪子は、刑事課強行・盗犯係所属の新人刑事。なのに今回命じられた職務は畑違いの人探し、中国人・宋鈴玉の、日本に旅行に来ていた両親。なぜか鈴玉の同行者は中国領事館職員・王天佑。
 国際政治と人情入り交じる不可解な人探しを続けるうちに、管内では連続殺人事件の別事案が勃発。田舎県警にはまたとない重大犯罪の捜査に心沸き立つ凪子だったが、上の命は中国人探しの捜査を続けることで、捜査本部には入れなかった。悔しさを噛み殺しながら中国人捜査を続ける凪子だったが、次第に領事館の天佑への疑いを深め、尾行を試みる。が、それが天佑にバレてしまい、上席からは大目玉を食う。
 落ち込んでいた凪子だったが、ところが今度は連続殺人の捜査にも加わることになり―

 題名と表紙からもっと陰惨な事件を想像していたのだが、「貌のない貌」はあくまで比喩だった。主人公が二つの事件捜査に関わる中、それが実は一つにつながっていくというストーリーで、そういう意味ではありがち。真相は予想外の部分もあったが、なにせそれぞれの話が散逸している印象で、全体像を整理しながら読むのがちょっと疲れた。
 仕組みに凝り過ぎたのではないか、というのが率直な感想。


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松嶋智左
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