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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] イルカの日 |
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ロベール・メルル | 出版月: 1973年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1973年01月 |
早川書房 1977年01月 |
早川書房 1977年01月 |
No.1 | 6点 | tider-tiger | 2018/09/16 11:00 |
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1967年フランス作品
イルカに言葉を教えることはできるのか? セヴィラ教授はこの画期的な研究に打ち込んでいる。そして、実験の成功により国家のイルカ軍事利用計画にセヴィラとイルカたちは巻き込まれていく。 四、五日前に以下のようなことがあった。 東京オリンピックのテスト大会として開催されたセーリング大会の開会式でイルカショーが披露された。 ↓ 国際連盟「開会式でイルカショーが行われたことに失望している。このようなショーが行われることは容認できない」 日本連盟「イルカの扱いについては個人や国によって考え方が違い、イルカショーを披露したことは慎重さを欠いていたと思います。不快な思いをされた方にはおわび申し上げます」 こういうニュースを聞くたびに本作のことを思い出す。 初読は学生時代。手話のできるゴリラの話(マイクル・クライトン 失われた黄金都市)を読んで面白かったので、次はイルカの話を読んでみたのだが、序文が長すぎ……。導入も丁寧過ぎるくらいの書き込み。 英語タイトルは『The Day of Dolfin』で、日本ではこの直訳が採用されて『イルカの日』となったが、原題(仏語)は直訳すると『理性ある生き物』となるらしい。そう。Animal rightsなる運動が展開され始めた頃の作品であり、純粋なエンタメではなく真面目にイルカについて考えさせようとしている作品でもある。 そうはいってもガチガチな話ではなく、イルカが言葉を覚えはじめるまでは面白かった。ファとビは可愛らしいし、実験の様子など楽しく読める。 ただ、イルカが言葉を覚えて人間と会話を交わしはじめると、いくらなんでもイルカにここまでの理解力はないだろうという思いが強くなっていった。 前述『失われた黄金都市』のゴリラはギリギリのところでどうにかリアリティを保っていたが、このイルカたちはいくらなんでも賢すぎる。 イルカは仮定の質問をすると現実と混同してしまうとか(もし仲間が死んだら悲しいですか、などと質問されるとイルカは本当に仲間が死んだと思ってしまう)、このくらいまではなるほどなと思った。 だが、イルカが「ジョンソン大統領はいい人です(悪い人だったかも)」とか言いはじめると、正直なところギャグとしか思えなくなってしまった。これは話の根幹に関わる部分なのでどうしても読んでいて白けてしまう。イルカドリームをほどほどに抑えていてくれればなあ。 アクションシーンはまあまあといったところだが、ラストもなかなか感動的で、なかなか面白い作品だと思うのだが。うーん。 ※ジョンソン大統領がいい人(もしくは悪い人)だとわかるくらい賢いなら、イルカ漁が行われる地域には近づいてはいけないと学習するのではないかと。 ※本作はイルカの軍事利用について書かれた最初の作品かもしれません。ちなみにロシアなどでは実際にイルカは軍事利用されております。 イルカを特別視する人にとってはバイブルとも成り得る作品かもしれない。だが、私はそこまでのめりこめなかった。 そもそも牛は食べるための生き物でイルカは殺してはいけない生き物。こういう考え方がまず理解できない。さすがは人種差別をしまくっ……危険な話題なのでこのくらいにしておきましょう。 |