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[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
治部の礎
吉川永青 出版月: 2016年07月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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講談社
2016年07月

No.1 6点 小原庄助 2018/03/15 09:18
戦国小説ファンには御馴染みの、石田三成が主人公。ただし、作者の創出した三成像は極めて斬新なものである。
羽柴秀吉に仕える石田三成は、本能寺の変以後、天下人への道を歩む主君のために尽くしながら、自分の目標を明確にしていく。それは、秩序による天下の平安である。正論を貫く三成は、たくさんの敵を作りながら、己の理想を目指す。
秀吉の中国大返しから、関ケ原の戦いまで、本書はよく知られた戦国の歴史がつづられている。しかし三成の目標と、それに基づく人物像によって、各エピソードが新たな意味を持って、立ち上がってくる。ここが大きな読みどころだ。
そしてラスト、勝者になった徳川家康へ向けて三成は、国家と為政者のあるべき姿を語る。ここまでの物語を読んできた人は、現代の日本にも通じる三成のメッセージを、重く受け止めることになるだろう。


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吉川永青
2016年07月
治部の礎
平均:6.00 / 書評数:1
2015年05月
化け札
平均:6.00 / 書評数:1