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[ サスペンス ] 犬橇レースの殺人 アレックス・ジェンセン |
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スー・ヘンリー | 出版月: 1997年06月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1997年06月 |
No.1 | 5点 | tider-tiger | 2018/03/03 01:18 |
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舞台はアラスカ。1500マイル近い距離を犬橇で走破するアイディタロッド・レースの参加者が木に激突して無残な最期を遂げる。さらに別の参加者も橇の下敷きとなって死亡する。
アラスカ州警のアレックス・ジェンセン巡査部長はこれらの出来事が事故ではなく殺人事件だと確信した。 ジェンセンはレースの参加者であるジェシー・アーノルドに協力を求め、調査を開始するのだが、またも新たな犠牲者が……。 「犬橇レース」なるものに惹かれて購入したのですが、この点では満足できる内容でした。筆力もそこそこあります。 アラスカの自然、犬橇レースの駆け引きなどはよく描けており、本で得た知識だけではなく、ちょっとした描写から現場の空気までもが感じられます。コース途上にある町の様子なども詳細で、レースの参加者がいかに歓迎され、英雄視されているかなどが良くわかります(これらの町には他に楽しみがないのではという気もしますが)。 ただ、導入~序盤あたりまでは良いのですが、あまりに淡々と進み過ぎて中盤がややだれます。終盤は少しギアが上がるのですが、ラストでの犯人の行動がアホ過ぎる。結局犯人がなにをしたかったのかよくわからないのです。犯人の目的と標的が噛み合っていない。他に狙うべき人間がいるだろうに。しかも殺す必要はないのに殺してしまったとかムニャムニャ。 仕掛けらしい仕掛けがなくて、ミステリとしてどうこう以前に、ミステリになっていないような。 ある種のクローズドサークルともいえそうな状況をうまく使ってユニークなミステリに仕立ててくれれば。 もしくは殺人事件にしないで純粋に冒険小説にした方が良かったのではないかと思いました。 犬橇レースに興味のない方は読む必要のない作品といえそうです。 犬橇レースの世界を描いた作品として個人的にはまあまあ楽しめました。 この作者は邦訳作品がもう一作あるらしいのですが、そちらの方も読んでみたい。 |