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[ サスペンス ]
首切り
ミシェル・クレスピ 出版月: 2002年07月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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早川書房
2002年07月

No.1 6点 tider-tiger 2017/02/04 11:48
優秀な経営コンサルタントだったカースヴィル(私)は突然のリストラに苦悩するも、優秀な人材に就職先を斡旋してくれるという企業にて試験を受けることになった。300人以上の人材の中から勝ち残ったカースヴィル含む十数人は最終試験として孤島に集められ、熾烈な戦いを繰り広げるのであった。

2001年のフランスミステリー大賞受賞作品。変な作品です。
冒頭でカースヴィルが人を殺してしまったことが匂わされます。
そして、就職試験を受けることになった切っ掛け、試験中に起きたことなどが回想されていきます。失業の恐怖、そして、就職を斡旋してくれるという企業への執着が描かれ、その後、受験者が孤島に集められ、三チームに分けられてのシミュレーションゲームが行われます。
孤島に集められる必然性が不明でいかにも怪しげですが、相応のリアリティがあって、受験者たちのマジな雰囲気をうまく作り出しています。
そもそもゲーム開始早々から受験者たちは企画者の意図を深読み、全知全能のゲームマスター(企画者)の想定を逸脱して、彼らの裏をかこうと画策。本当になにをやってんだか。無茶苦茶なようでいて、あくまでも人と人との頭脳戦で読ませようという姿勢は高評価。参加者たちの知的バトルが非常に読ませます。ここに楽しい人間模様も織り込まれて状況は二転三転していきます。もっとも三百人の中から選りすぐられたにしては凡庸な人物が多すぎる気もしますが。
まあとにかく、ミステリかどうかは疑問あるも面白いのです。
ところが、終盤が……私は受け付けなかった。

失業の苦悩、つかみかけた希望、ゲームで追い詰められて、絶望と浮き沈みするカースヴィルがついにライバルを殺害してしまうと、こういう流れでミステリ的な方向に話が向かうのかと予想していました。ところが、私の想像を悪い意味で超えた展開。
とても楽しく読めた前半と中盤でしたが、終盤で減点。6点とします。
非常に惜しい。


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ミシェル・クレスピ
2002年07月
首切り
平均:6.00 / 書評数:1