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虫暮部さん
平均点: 6.28点 書評数: 959件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.47 4点 大富豪殺人事件- エラリイ・クイーン 2021/04/01 10:42
 表題作。犯人は、忘れ物を回収しようとして、却ってソレが手掛かりだと教えてしまった。
 「ペントハウスの謎」。中国人が登場するのは、ノックスの十戒に対する諧謔?
 文庫版解説は面白かった。

No.46 6点 間違いの悲劇- エラリイ・クイーン 2021/03/30 12:26
 「動機」は凄く良い。こういうノン・シリーズ作品をもっと書いていれば、探偵エラリーの苦悩でブルーにこんがらがった後期にも、そこから自由な佳作をもう少し遺せたのではないだろうか。

No.45 7点 クイーンのフルハウス- エラリイ・クイーン 2021/03/03 14:07
 「ドン・ファンの死」。ダイイング・メッセージはともかく、犯人特定の手掛かりが短編にちょうど良いサイズ感で、読んでスッキリした。
 「ライツヴィルの遺産」。結末で仕掛けた罠は無効。下心の有無を他人が観測は出来ない。
 「キャロル事件」。思惑が絡み合って事態がずれていく様が面白く、読み返して台詞の裏側を知るとまた味わい深い。

No.44 5点 心地よく秘密めいた場所- エラリイ・クイーン 2021/02/27 13:48
 バージニアの日記の自意識過剰気味な書きっぷりは面白い。
 余計なこと考えずに動機“キューイ・ボーノ”を追及すれば、警察はすんなり犯人に辿り着けたんじゃない?

No.43 5点 最後の女- エラリイ・クイーン 2021/02/16 11:47
 ジョニーがやけにおとなしそうなキャラクターだったり、元妻らの容疑がアッサリ晴れたりと、内容の成分に比べ妙に平坦な書き方で損をしている。もっと色とりどりに飾ってもいいのに。
 某が夜中に錯乱する場面は短いながら印象的。前半の描写とのギャップが、作者の不手際ではなく、平穏な言動の裏に彼女もこんな気持を押し隠していたんだなぁと思えるところが立派。

No.42 6点 孤独の島- エラリイ・クイーン 2021/02/03 11:54
 おまわりに預けよう、と言い出した時、ハハァ、コレは弱味を握っているか、金で転ぶ悪徳警官か、ともかくなにがしかの事情があるんだな、と思った。人質に取り易い家族がいると言うだけなら選択肢は他にもありそうなのに、何故わざわざ警官を巻き込んだ?
 三者三様キャラの立った強盗団に比べて、マローンの性格はあまり読み取れなかった。と言うか、彼本来の性格なのか、状況によって強いられた無理な行動なのか、区別が付かなかった。
 邦題は考え過ぎで合っていない。後半で舞台がどこかの島に移ると信じていたのに。そのまま『コップ・アウト』でいいんじゃないの。

No.41 7点 真鍮の家- エラリイ・クイーン 2021/01/21 12:05
 実はEQの長編を一気読み出来たのは初めてだ。鋭さには欠けるが妙に読み易い面白さがある。殺人事件の調査より遺産探しを優先しているようで、クイーン元警視の態度にイライラ(ニヤニヤ?)。殺人の真相には結構驚いたけど遺産のオチはなんだそりゃ。
 招待状の文面は変。“来着または不参をもって返事と承知”と言っても、日時指定が無いから“不参”の判断が出来ないでしょう。

No.40 5点 犯罪カレンダー (7月~12月)- エラリイ・クイーン 2021/01/04 11:56
 当時の米国のラジオドラマの位置付けは想像するしかないが、マニア向けだったわけではまぁないだろう。ファンの裾野を広げるようなライト・ユーザー向けのミステリ作品があるのは良いことだし、EQがその一翼を担った心意気も判る気がする。
 但し、“初心者もマニアも満足”な作品作りはなかなか難しいのであって、“雰囲気を楽しむ”以上の名品は見当たらず。つい“くっだらねぇ~”と叫んでしまった話もある。

No.39 5点 犯罪カレンダー (1月~6月)- エラリイ・クイーン 2021/01/04 11:55
 結末でガッカリの繰り返し。唯一「ゲティスバーグのラッパ」の真相はシンプルながらビシッと決まっている。
 生き残り保険ネタが2編重複しているのは、アンソロジストとしてちと自分に甘いんじゃないのかEQ?

No.38 5点 - エラリイ・クイーン 2020/12/11 12:06
 天才的な女たらしが、引っ掛けた女を共犯にする、との設定なら、共犯者は幾らでもどこからでも調達出来る筈なのに、閉じられた人間関係・限られた容疑者の中だけで話が進行する不自然さにイライラした。出来が良いとは言えないが、テンポ良く進むのが救い。
 ハヤカワ文庫版の表紙はなかなかやってくれるぜ。大胆なネタバレでグッジョブ。

No.37 7点 恐怖の研究- エラリイ・クイーン 2020/11/18 11:04
 ホームズは殆ど偶然で犯人に辿り着いているように思える。もしかして、あの人がホームズを誘導した、と言う操りテーマなのか?
 “EQが描くホームズ”との前提で読むと、私は斯様にあちこちから批評性を勝手に読み取ってしまう。“容疑者が四人”なんて言うから、すわホームズが消去法推理を? と期待してしまったぜ。

No.36 5点 三角形の第四辺- エラリイ・クイーン 2020/11/03 11:38
 物語中盤の構成要素を思い返すと、もっと展開を楽しめそうな気がするが、何故か凡作。最後のどんでん返しは不要じゃないかなぁ。恋人を探す意外な手掛かりは面白いんだから、そこで止めておいたほうが良かったのでは。どっちにせよ凡作だけど。

 ところで、271ページの食品の名称は多分、ニッシュ → クニッシュ(knish)、トーチラ → トルティーヤ(tortilla)、ですね(修正されてる?)。

No.35 8点 第八の日- エラリイ・クイーン 2020/10/30 17:02
 不可解な宗教の話は好きだなぁ。ミステリの宿命で悲しい展開なのが悲しい。共同体の裏側にもっと驚きの真実が隠されていて欲しかったけど、それは望み過ぎか。
 EQが多用した“偽の手掛かり”ネタの作品としては説得力が強く、著作リストの中での存在意義も高い一冊だと思う。

No.34 7点 盤面の敵- エラリイ・クイーン 2020/10/27 14:51
 EQは、“フェア・プレイのパズラー”を規定するだけでなく、それをこじらせるところまで自ら体現した点が素敵だ。
 本作はその精神性が上手く形になっているような気がする。もっとも本邦の新本格勢のほうが、数々の前例を踏まえて臨めた分、この手の捻り方に関しては一枚上手。相対的に少々物足りないか。
 舞台となるヨーク・スクエアが描写不足でイメージしづらい(あまりそれが必要な話でもないけど)。事件が続けば手掛かりが増えるとばかりに、捜査陣が手を束ねて第二第三の犯行を待っていたように見える。作品前半ではアレがファースト・ネームに思えるような書き方を意図しているのだから、登場人物表は無神経だ。思わせぶりなカードについて、犯人側の内的必然が充分存在した点は、『最後の一撃』での反省が生きている(のか?)。

 代作? まぁそもそも、その人がその小説を書いた、と完全に証明するのは不可能だしね……。

No.33 5点 二百万ドルの死者- エラリイ・クイーン 2020/10/16 14:35
 好みのジャンルではないし、これと言った捻りも無いし、旅程の進行につれて物語の背景が変遷するさまは風刺的な気もするけど、もっと上手い書き方があったんじゃないか。ヨースト爺さんのエピソード(の淡々とした描き方)は良かった。

No.32 6点 最後の一撃- エラリイ・クイーン 2020/10/11 10:53
 非常に不自然な殺人計画。しかも、想定外の展開をしたにもかかわらず、軌道修正せずにのんびり最終日まで引っ張っている。
 足止めを喰らい標的が逃げられなくなったのは○。それを殺す前に自分が検挙されるリスクは×。この計画の最終日は“この日のうちに殺さないと意味が無い”と言うリミットなんだね。自身に対するプレッシャーとしては有効?
 と言った犯人の気持の揺らぎが事件からまるで感じられずがっかり。
 ――しかしそれは真相を知った後に思うことである。読んでいる最中は、作り事めいた状況に対応を決めかねる面々の微妙にイヤな感情を孕んだパーティーを楽しめた。その人がその人であることをどうやって証明するのか問題も◎。

No.31 6点 クイーン警視自身の事件- エラリイ・クイーン 2020/09/19 11:31
 枕カバーについて。
 ホニトン・レースの枕カバーに手の跡がついていた、それがいつの間にかきれいなアイルランド・クローセ編みのものに取り換えられている、とジェシイは証言した。
 その証言が間違いなら、手の跡の無いホニトン・レースの枕カバーも邸の中にあると考えるのが妥当、ある筈の枕カバーが無いなら証言の信憑性は増す。しかし警察はそういう捜し方をしていないようだ。
 ホニトン・レースの枕カバーが複数枚あって正確な枚数を誰も把握していないなら仕方ない。そんな記述は無いけど。

 退職した警官が“金の楯(記章)”を未だ持っているのはまずいでしょう。

No.30 5点 ガラスの村- エラリイ・クイーン 2020/08/27 13:55
 赤狩りを主導したマッカーシー上院議員のファースト・ネームは、ジョゼフ。EQは本作で散々な目に遭う余所者にその名を与えている。露骨だ。まぁここで描かれた危うさはマッカーシズムに限らずいつでもどこでも有り得るものだし、読者が作者の意図云々に縛られる必要はないわけで、そんな知識は蛇足だけどね。

No.29 7点 緋文字- エラリイ・クイーン 2020/08/12 13:09
 動機を理由にアレが(減刑や猶予でなく)無罪になるとは驚き。しかもそれが当然の不文律として広く認知されている? どの程度リアルな話なのだろうか? 実際にああいう事件を誘発しかねないのでは? 陪審員制の危うさが印象に残った。
 ダークなんて名前アリなのかと思ったらスペルは Dirk とのこと。

No.28 6点 悪の起源- エラリイ・クイーン 2020/07/26 14:59
 前回読んだのは中学校の頃。読み返す意義はあった。英語がそこそこ判るようになったので、あの手紙の部分をしっかり味わえたから。
 犬の死体と脅迫状で相手が死んだ。それは殺人罪に該当するのか、と言う問題が全然問題にされていない。
 もう一件。殺すつもりで空包を撃った、当人は実包だと思っていた、撃たれた側は空包だと承知の上で、敢えて撃たれる状況を作った。コレは殺人未遂罪? 不能犯? (但し空包でも至近距離だと危険だとか。)
 あの人が何罪で起訴されたかも明記されていない。そういう法律談義は作者の手に余ったのか。
 ところで“アボカド”を“西洋梨”としているのは変だね。

虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.28点   採点数: 959件
採点の多い作家(TOP10)
西尾維新(57)
エラリイ・クイーン(47)
有栖川有栖(46)
森博嗣(41)
山田正紀(34)
泡坂妻夫(28)
アガサ・クリスティー(23)
小林泰三(20)
法月綸太郎(19)
島田荘司(17)