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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
奇岩城
怪盗ルパン/別題『奇巌城』
モーリス・ルブラン 出版月: 1957年01月 平均: 4.92点 書評数: 12件

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東京創元社
1957年01月

東京創元社
1959年01月

新潮社
1959年12月

東京創元社
1960年01月

偕成社
1982年03月

集英社
1992年11月

早川書房
2006年05月

No.12 5点 虫暮部 2023/12/07 13:53
 ラスト3分の1(暗号解読&奇岩城攻略)は面白かった。全て我が物だとばかり宝物を並べる様に、ルパンの圧倒的な孤独を見た。
 哀しい結末は、今時の気遣い重視のコラボレーションと比べて、作者の思い切りの良さに結構感心。どのみち読者だってこれをホームズの公式エピソードに数える気は無いんだから。

No.11 7点 クリスティ再読 2022/05/29 09:38
本作ってミステリマニアが読んじゃいけない本だと思うよ(苦笑)でも、意外になくらいに「黄色い部屋」に張り合う要素が見えて、ミステリ史、という面だと興味深いところが、とくに前半にある。
「黄色い部屋」は本当に密室だったけども、前半の話でもやはりルパンは脱出不可能、という設定があるわけで、今の「密室」の概念からすれば密室でも何でもないわけだが、おそらくルルーを意識したんだろう...もちろん、少年探偵と探偵合戦趣向とか、影響と見るべき趣向が数多い。2年後、だからね。

まあとはいえ、この前半のミステリ趣向はそれほど面白い、というほどでもない。やはり、ダミーの「針の城」潜入から、暗号を解いて真打の「空洞の針」へ..のロマンティックな冒険小説のテイストの方がずっと、いい。やはりエトルタ海岸に実在する針の岩やらアヴァルの断崖やらアーチやら、そういう絶景をイメージすればやはり「心躍る」というものではないのだろうか?
しかも、それが少年探偵ボートルレの視点で徐々に暗号を解きながら、奇岩とシーザーからルイ14世へと至る「フランスの秘密」を絡めつつ...それを実は見守るルパンの父性、といった視線。それに悲恋。いやいや、ロマンってこういうものでしょう?

実際、怪人二十面相と小林少年...といった「怪しい」方の興味もあるしね。評者はごちそう様。

心を広く持って楽しもうよ。
(ちなみに読んだのはハヤカワ文庫の新訳。実に読みやすい)

No.10 4点 バード 2021/02/27 08:10
これは昔の有名シリーズの悪いとこ(違和感があるレベルでの主人公上げ、場当たり的に次々と登場する舞台や人物、主人公上げに使われるしょーもない謎、など)が出てしまっている作品。
主人公のボートルレのキャラが弱いのは、キャラ物として致命的。後半は惰性で読みました。

No.9 4点 文生 2020/08/15 21:01
子どもの頃に結構ワクワクしながら読んだ記憶はあるのですが、やはり問題はホームズの扱い
江戸乱歩の「黄金仮面」におけるルパンの扱いもひどかったが、この作品のホームズの扱いも同じぐらいひどい

No.8 4点 ボナンザ 2020/08/15 09:50
ドイルはキレていいと思う。

No.7 5点 YMY 2020/04/19 18:16
古い暗号文書に隠された歴史上の秘密をめぐって、怪盗ルパンとボートルレ少年が繰り広げる丁々発止の知恵比べがこの作品の面白さである点。
盗みの天才でありながら、愛のために「まっとうな人間」たろうとするルパンの苦悩が、波乱万丈の冒険譚に深みを与えている。

No.6 4点 レッドキング 2018/11/15 07:29
なんだあのホームズの扱い。フランス人作家の幼稚で原始的な愛国心。ルパン三世なんて見たら愕然とするのかな。

No.5 5点 makomako 2015/10/15 21:57
 ルパンシリーズは有名ですが、ちゃんと読んだことはありませんでした。今回代表作とされる本作品を読んだのですが。
 まあはっきり言ってお子様向け大活劇といったところですかね。
 子供のころ読めばもっと良かったかもしれません。
 何となく怪人二十面相のような感じでした。暗号などもあるのですが、残念ながらフランス語の暗号のため私にとっては「ああそうなの」といった感じでした。

No.4 5点 2013/02/04 11:57
財宝探しあり、暗号解読ありの、楽しい冒険物語。
高校生探偵イジドール・ボートルレがルパンに対決を挑み、さらにシャーロック・ホームズやガニマール警部がそれに絡んでくる構図となっている。歴史的背景があって、重厚感もある。
これらの冒険要素、図式は少年ごころをくすぐること必定です。しかもラストは、なんとも劇的です。
ルパンは盗賊に徹した描かれ方になっているが人間味あふれるところもあり、読んでいて気持ちがいい。ルパンを追うイジドールの執念にも惹かれます。ホームズの扱い方のひどさには笑えましたけどね。

残念なのは、これだけ楽しめる材料がそろっているのに、まとまり感に欠けること。ストーリー・テリングの問題か、あるいは翻訳によるものか、それとも詰め込みすぎなのでしょうか。大作のわりには短すぎるようにも思います。

もしかして子どものころ読んでいたのでは、と思いましたが、ストーリーに微塵の記憶もありません。やはりルパンとの縁はなかったようです。

No.3 6点 TON2 2012/12/17 16:31
集英社文庫
 フランス王家の謎を軸としていて、歴史伝奇的です。
 最後は愛する女性のために怪盗生活から足を洗い普通の生活に入ろうとしていたルパンが、イギリスからやってきた名探偵ハーロック・ショルメス(ホームズ)の姦計にはまったことから、その女性が死んでしまうという、かなりセンチメンタルな話です。
 また、自己顕示欲が強いために、そんなぎりぎりまでしゃべらなくてもいいだろうと思うような場面で、とうとうと自分のことを語り、墓穴を掘るというのは2時間サスペンスのようなご愛嬌です。

No.2 6点 E-BANKER 2011/02/05 17:18
言わずと知れたアルセーヌ・ルパン物の代表作の1つ。
大昔にジュブナイル版で読んだ記憶が微かにありましが・・・今回再読。
~レイモンドが放った一弾は、見事に逃走しようとする賊を撃ち倒した。ところが、重傷を負ったはずの賊が煙のごとく消え失せた。しかも屋敷から盗まれたものは何一つなかった。この奇怪な謎を解き明かしたのは、まだ高校生のイジドール少年。しかも、彼は事件の首魁をかのアルセーヌ・ルパンだと看破した。かくして怪盗対少年探偵の熾烈な頭脳戦の幕は切って落とされた!~

物語の舞台がフランス国内を点々とし、最終的にはフランス王朝に伝わる宝に纏わる謎解きがメインとなっています。
ルパンに相対するのは、現役高校生のボードルレ少年。ルパンと対決する中で、父親を誘拐されるという事態に巻き込まれならがらも、けなげに探偵役を務め上げます。
それに比べて、シャーロック・ホームズの扱いときたら・・・
依頼を受け、ロンドンからフランスへ到着する前に、ガニマール警部とともにルパン一味に捕らえられ、船でアフリカ大陸を一周させられる始末・・・
(これを読んで、イギリス国民は怒っただろうなぁ・・・)
ただ、読みにくさは如何ともし難い・・・。今回読んだ新潮文庫版の翻訳者は「堀口大学」氏。
というわけで、非常に文学的で高尚な表現になっているんでしょうが、それが個人的には合わない! 海外物は翻訳次第というのは仕方ないところですね。
(あと、フランス国内の地名が頻繁に出てくるので、地図などを1枚付けていただければ、非常に親切かと・・・)

No.1 4点 Tetchy 2009/06/28 20:40
小学校時代、学校の図書館で読んだ時、ハラハラしながら読んだものだった。
大人になって改めて再読してみると、意外なことに全くといっていいほど楽しめなかった。
本作のみで探偵役を務めるイジドール少年が、小学生の私には身近なヒーローに映ったのかもしれない。
しかし本作の冒頭のシーンも、宮崎駿監督の名作“カリオストロの城”にエピソードとして盛り込まれており、逆に宮崎監督がパスティーシュともいえるルパン三世シリーズをきちんと原典を踏まえて創作したのだというのがわかっただけでも収穫か。


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モーリス・ルブラン
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