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[ 本格 ]
灯火が消える前に
エリザベス・フェラーズ 出版月: 2016年05月 平均: 6.00点 書評数: 2件

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論創社
2016年05月

No.2 6点 nukkam 2016/09/07 13:23
(ネタバレなしです) 1946年発表の本格派推理小説で第二次世界大戦の影響を残しています。序盤で殺人事件が発生し、あっという間にジャネットという容疑者が逮捕されます(後に有罪判決も出ます)。ジャネットが犯人とは思えないアリスは事件関係者を次々と訪問します。しかしジャネットが無罪という確信があるわけでも他に有力容疑者の心当たりがあるわけでもないのですからストレートな捜査にはならず、ジャネットを理解するという点では進展があっても事件の真相に近づいているという予感がしないので中盤はややじれったい展開です。しかもジャネットを有罪とする根拠が自白、指紋、そして目撃者の証人とそれなりに強固な状況証拠ですのでこれをひっくり返さなければいけません。ジャネットがそのまま犯人の可能性もありますのでひっくり返るかどうかはここでは書きませんが、いずれにしろ終盤にそれまで灰色の世界だったのが突然派手な極彩色の世界に変わったかのような劇的効果が生み出されていることだけは書いておきます。

No.1 6点 kanamori 2016/06/18 22:55
戦時下、灯火管制が敷かれたロンドン。刺繍作家のセシリーが主催するホームパーティに招かれたアリスは、初対面のセシリーの友人たちの間のギクシャクした雰囲気が気になっていた。やがて、いつまでたっても姿を現さない招待客の一人、劇作家のリッターが、間借りしている最上階のフラットで撲殺死体で発見される-------。

論創社から出たエリザベス・フェラーズ今年2冊目のノンシリーズ作品。
先に出版された「カクテルパーティー」と比較すると、ホームパーティでの殺人で幕を開けるところは似ているといえるのですが、錯綜した謎解きプロットの「カクテルパーティー」に対して、本作の構成は非常にシンプル。
目撃者の証言と凶器の指紋によって、被害者のリッターと一時不倫関係にあったジャネットが早々に逮捕され、裁判で死刑が宣告される。本書の大部分は、ジャネットの犯行に納得がいかないアリスが、パーティ参加者の男女を訪ね歩き、リッターとジャネットの”実像”を浮き彫りにしようとする数章で占められています。この巡礼スタイルでの関係者との問答パートが、地味でやや退屈に感じる部分もあるのですが、終章近くになって、アリスと夫のオリバーの推理のディスカッションから、盲点を突く真相に至る流れでようやく盛り上がります。戦時下ならではのトリックという点では、「爬虫類館の殺人」を連想する読者も多いのではないでしょうか。


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エリザベス・フェラーズ
2020年02月
亀は死を招く
平均:6.00 / 書評数:1
2019年09月
魔女の不在証明
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2016年05月
灯火が消える前に
平均:6.00 / 書評数:2
2016年03月
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平均:6.00 / 書評数:3
2007年03月
嘘は刻む
平均:6.00 / 書評数:3
2006年02月
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2002年08月
その死者の名は
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2000年09月
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1999年12月
細工は流々
平均:5.50 / 書評数:4
1998年12月
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1998年09月
猿来たりなば
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1956年01月
間にあった殺人
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