home

ミステリの祭典

login
ラリーレースの惨劇
プリーストリー博士シリーズ

作家 ジョン・ロード
出版日2015年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2024/05/07 10:54登録)
(ネタバレなし)
 名探偵プリーストリー博士の青年秘書ハロルド・メリフィールドは、2人の友人とともに、数日間かけて英国の各所を回るカーラリーに参加した。単純に早く最終ゴールに着けばいいのではなく、各ポイントを設定時間内に回ることを繰り返す条件レースだ。だがその最中、3人は停車する不審な競争車を発見。中にはドライバー2人の死体があった。

 1933年の英国作品。プリーストリー博士(本書のカタカナ表記)シリーズの第15弾。
 
 殺人事件は序盤にしか起きない地味な長編だが、物語は動きがあって面白い。話が脇に逸れず、徹頭徹尾、殺人事件の捜査と推理に費やされるド直球ぶりは、いつものジョン・ロード。とても気持ちがいい。

 で、フーダニットのパズラーとしては、作者が面白いことをしようとしてるのはわかるが、まともに伏線や手掛かりを整えてないので、ほとんどただのチョンボ作品(欧米の某・巨匠作家の・某問題作のようである)。

 翻訳は読みやすかったが、巻頭の人物表はヒドい。ちょっと複数の問題点を言いたいが、まずはここでは、列記しておくべき数名の登場人物の名前が出てないでしょう、とだけ書いておく(具体的には、弁護士のチャールズ・ファラントとか執事のウィリアム・オーチャードとか)。

 あれこれ思うことはあるが、それでも今回もそれなりに楽しめた。
 この数年間で、これで7~8冊読んでるけど、自分は地味にロード作品がスキみたいだ(笑)。
 邦訳があるので、あと未読の残りは二冊か……。関係者の方は、発掘・新訳を適当にまたそろそろ、お願いします。

No.1 5点 nukkam
(2015/11/03 22:49登録)
(ネタバレなしです) 世界3大ラリーの1つであるウェールズ・ラリーGBの前身であるRACラリーの第1回大会が1932年に開催されたのに触発されて書いたとされる、1933年発表のプリストリー博士シリーズ第15作の本格派推理小説です。地名や車名の一部に架空の名前を使っているのはモータースポーツ業界から苦情を受けないようにする対策でしょうか(笑)。論創社版の巻末解説でコメントされているようにレース描写は序盤のみで、ほとんどが地道な捜査描写に終始するプロットになっているのはこの作者らしいです。犯人の正体は終盤まで伏せられてはいますが犯人当てとして楽しめる内容ではなく、レース中の事故死(と警察は当初判断します)はどのようにして発生したのかというハウダニットの謎解きの方が目立ちます。ただ現代の自動車とは構造の異なる部分の多いクラシックカーですので、このトリックも既に骨董品クラスです。発表当時はどのように受け止められたのでしょうか、気になります。

2レコード表示中です 書評