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ミステリの祭典

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Y列車の悲劇
列車シリーズ

作家 阿井渉介
出版日1991年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2015/12/27 20:03登録)
1991年発表の長編。
警視庁捜査一課・牛深警部を主人公とする「列車シリーズ」の第四作。
“不可能犯罪”てんこ盛りがウリのシリーズ作品。

~上り寝台特急「はやぶさ」のA寝台車の個室で、女性の惨殺死体が発見され、残りの乗客全員は走行中の列車から消えた。そして有名俳優の声を使った脅迫電話と呼応してつぎつぎと姿を現すのは乗客の死体! 不可解な事件が女流脚本家のシナリオのとおりに動いていることが判明したとき、謎はさらに混迷の度を深める!~

相変わらず重い雰囲気を纏った・・・っていうか重苦しい雰囲気を纏った作品。
本作はTVドラマのシナリオどおりに殺人事件が行われるという、一種の「見立て殺人」のガジェットが取り入れられているのだが、その昔「特捜最前線」(懐かしい!)のシナリオも書いていたという、いかにも作者らしいプロット。
(「Y列車」もいったいなに?と思ってたけど、そういうことね・・・)

今回の最大の「不可能」は寝台特急の個室車両から六人の乗客が忽然と消えたという謎。
身元が判明した二人は殺害された姿で発見されるのだが、残りの乗客はなかなか発見されない・・・
まぁこのトリックに関しては・・・実に現実的!
島荘的な豪腕トリックではなく、現実的に考えればこうだろうという解放に落ち着いている。
(牛深が最初からこれを思い付かないということが問題ではあるが・・・)

フーダニットについてはもったいぶりすぎ!!
本シリーズを読んでいる読者なら中途で気付くはず! この登場人物が犯人に違いないと!!
もともとフーダニットにはあまり重きを置いていないシリーズなのだが、これはちょっとヒントありすぎだろう。

トリック重視の本格ミステリーと警察小説のハイブリッド、という意味では先進的ともいえる本シリーズ。
人間として、日本人として考えさせられる動機や背景・・・
もう少し評判になっても良かったのではと思うのだが・・・。
ただ本作はちょっと落ちるかな。

No.1 6点 nukkam
(2015/10/12 22:44登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の列車シリーズ第6作です。寝台特急の乗客が全員消えて後には1人の死体が残されていたという謎を扱っています。走行中の列車から車両が消失する前作の「列車消失」(1990年)、駅や列車が丸ごと消えた次回作の「赤い列車の悲劇」(1991年)と比べると謎のスケール感では劣りますが、謎また謎のオンパレ-ドで読者を圧倒して退屈する余地など与えません。犯人の正体を最後まで隠すことに成功し、謎解き小説としてのまとまりでは前後作よりも上回っていると思います。

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