home

ミステリの祭典

login
真夏日の殺人
マギー・ライアンシリーズ

作家 P・M・カールソン
出版日1993年04月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2022/10/31 21:09登録)
(ネタバレなしです) 1990年発表のマギー・ライアンシリーズ第6作です。私にとってはシリーズ第1作の「オフィーリアは死んだ」(1985年)以来となるシリーズ作品で、まるで異なる雰囲気になっていて驚きました。初登場では独身だったマギーが結婚していて子供が1人いて2人目を身籠っています。そして時代を強く感じさせる描写になっています。作中時代は1975年8月、ヴェトナム戦争帰りの人間が何人か登場して戦争の後遺症が語られており、密室殺人事件の謎解き本格派推理小説でありますが国内ミステリーなら社会派推理小説と評価する人がいるかもしれません。物語の主人公は3人の女性、マギーとその兄嫁でフェミニズムの影響が強い新聞記者のオリヴィア・カー、そして第8章でマギーが「すごく優秀な人だけど、狂気すれすれのところで生きていると思う」と評価するヴェトナム帰りの女性刑事ホリー・シュライナーで、捜査の中で彼女たちが織り成す人間ドラマも読ませどころです。社会問題描写の深刻さのために時に謎解きに集中しにくくなる作品ですが、ユニークな密室トリックや巧妙に散りばめられた手がかりなど本格派推理小説としてもなかなかの作品だと思います。

No.1 5点
(2021/08/31 21:32登録)
1990年発表作ですが、ヴァージニア州モズビー1975年8月4日(月)、5日(火)午前、同午後と、大きく3部に分れた作品です。そんな短期間だからこそ、明確な検死結果も出ないため、成り立つミステリだとは言えます。
名探偵役のマギーは、これまで読んだミステリの中でも最も超人的な探偵の一人でしょう。死体が発見されてからは、異常なまでの名探偵ぶりが示されます。決して冷たい人間ではないのですが、あまりに客観的に、というよりむしろ批判的な立場から描かれすぎ。マギーに反発を覚えるのは、女刑事のホリー・シュライナーで、ベトナム戦争で看護師をしていた彼女の心の傷がじっくり描かれていて、それが事件にも関係してくるところが読みどころと言えます。ただ、それが真相には直結していないのがちょっと…
誉めるべきところも少なくないのですが、正直なところ描き方があまり好きになれない作品でした。

2レコード表示中です 書評