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ミステリの祭典

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東野圭吾公式ガイド
東野圭吾作家生活25周年祭り実行委員会 編

作家 事典・ガイド
出版日2012年02月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 パンやん
(2016/09/08 13:03登録)
確かに1万人の人気ランキングは拍子抜けで、小生が読破していた初期作品群の扱いがほぼ無いのは残念。加えて、21位以下の作品の映像化データも欲しかったところ。映像化作品にハズレが少ないのも東野作品の凄さで、このガイド、自作解説(ボヤキに笑)あっての評価と思われよ。

No.1 7点 Tetchy
(2015/09/12 23:19登録)
目玉は読者1万人による東野作品の人気投票ランキング結果だが、なんとこれはたった40ページ弱で纏められてしまい、21位以下の下位作品はタイトルと無差別に選出されたコメントが付されただけという、何とも期待外れな内容だった。
正直これだけならば壁本だったのだが、その後全ての作品についての東野圭吾が各所で語った自作コメントが付けられていたことで思わず振りかざした手を下すことが出来た。

ランキングについてここで詳細に語ることは避けるが、3位にあの作品が入っていることはかなり驚いた。やはりメディアの力は強いと云う事か。

本書のメインは第2部とも云える作者自身による全作品解説だ。とは云っても書き下ろしではなく、各所で語られた物を集めたものだが、それでも最近の作品では解説はおろか、あとがきもないため、この解説は当時の制作状況や作者の意図が解って実に有意義な内容だった。このガイドブックで挙げられている作品の中には未読作もあるので、ここに書かれた内容を頭において読むのもまた一興だろう。
ところでようやく2015年になって彼の隠れた傑作『天空の蜂』が映画化され、今公開中である。そんな「今」を知ってこのガイドに書かれた同作のコメントを読むと非常に感慨深いものを感じる。

しかし作家生活25周年記念でこのようなガイドブックが文庫版で編まれることが現在の東野人気の凄さを物語っている。彼の場合、ぽっと出のベストセラー作家ではなく、質の高い作品を書きながらもミステリファンにおいては高評価を得ながらも巷間では知られていなかった長い下積み生活を経てのブレイクだけに作家としての基盤がしっかりしており、簡単には揺らがない強さがある。実際出す作品の質は高いし、シリーズ物はどんどん深みを増している。

数十年後改訂版として再びガイドブックが編まれた時、ランキングがガラッと変わるような傑作が出される可能性が高いだけに今後の東野圭吾の作品に注目していきたい。

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