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ミステリの祭典

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もう過去はいらない
バック・シャッツ

作家 ダニエル・フリードマン
出版日2015年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2019/12/30 23:44登録)
前作「もう年はとれない」に続く、伝説の刑事“バック・シャッツ”を主人公にしたシリーズ二作目。
齢88歳でもメンフィスの街中を舞台に大暴れ!(スゴイ・・・)
2014年の発表。

~88歳のメンフィス署の元殺人課刑事バック・シャッツ。歩行器を手放せない日常にいらだちを募らせる彼の許をアウシュヴィッツの生き残りにして銀行強盗のイライジャが訪ねてくる。何者かに命を狙われていて助けて欲しいという。彼とは現役時代に浅からぬ因縁があった・・・。犯罪計画へ誘われ、強烈に断ったことがあるのだ。イライジャは確実に何か企んでいる。88歳の伝説の刑事VS78歳の史上最強の大泥棒の対決は如何に?~

仕事がら高齢者と話をする機会が結構多い。
確かに最近は元気なお年寄りも増えてるし、88歳で全くボケもせず毎日元気に暮らしている方も割合目にする。
でも、そんなレベルではない。このバック・シャッツは!
大都会の街中で銃を撃ちまくるわ、歩行器のまま犯人のアジトへ単身潜入するわ・・・普通ならヤレヤレである。
(実際、妻のローズにしこたま怒られます)
超高齢化社会となった昨今、これはお年寄りたちに勇気を与える作品だろう。
是非介護施設や病院のロビーに置いて欲しいものだ。

いやいやそんな感想はどうでもいいんだった・・・
で、本筋なのだが、うーん前作よりはやや落ちるかなという感想。
私にしては珍しく、シリーズものをあまり間を空けず読んだのだが、ラストのオチは前作よりも更に予想しやすいと思う。
別に謎解きミステリーではないから、そんなことは二の次でいいのかもしれないけど、さりとて他に印象的な部分は見当たらない。
ということは、やっぱりバック・シャッツの活躍ぶりを楽しむための作品ということかな。

巻末解説によると続編があるとのことなので、もしかして次作は90歳のバック・シャッツが登場するのかも。
90歳になっても街中で暴れまわるのなら、ある意味それってSFかもしれない・・・違うか?
(巻き込まれた刑事がとにかくかわいそうだ・・・)

No.1 6点 tider-tiger
(2019/02/15 20:55登録)
~伝説の元刑事バック・シャッツ(88歳)は(前作の)ナチス将校の金塊騒動で大怪我をして歩行器を使用するはめになり、現在は介護付き老人ホーム?に入居している。そこにバックと因縁浅からぬ伝説の銀行強盗イライジャ(70代後半)が訪ねてくる。用件は身の安全を守って欲しい、そして、自分が誰かに殺られた時は復讐して欲しいとの依頼じゃった。

2014年アメリカ作品。伝説の元刑事バック・シャッツシリーズの二作目。前作は面白かったが散漫なところも目立ち、どうにか及第点のプロットを高齢者探偵という奇抜な設定やキャラの強さ、会話などで引っ張っていく風だった。続編は読んでもいいし読まなくてもいいかなと思っていた。次作はバックのくそじじいキャラをさらに強調してコミカルな路線にいくのかなと予想していたが、まったく違っていた。民族、宗教、正義といったものがバックとイライジャを通じて重くのしかかってくる。
バックのくそじじいぶりは変わらないが、悪乗りすることはなく、シリアスなテーマが用意され、イライジャが何者かに命を狙われている現在の事件と1965年にバックとイライジャが対峙した過去の強盗事件が交互に描かれていく。ここにさらに『忘れたくないこと』と題されたバックの戯言が挿入されるのだが、これがなかなか味わいがあってよかった。
上記二つの事件に直接的な関係はないが、本作を読み解く上では関わりがあるともいえる。
中年時代と老年時代のバックが肉体的にはともかく精神的にはほとんど変化なく描かれている。おそらくはこの変化のなさがバックのキャラなのだろう。バックに嫌悪感をもつ読者も一定以上いると思う。正直なところ私も眉を顰めた部分があった。ただ、正義についての彼なりの偏った信念がこの作品を紛れないハードボイルドにしている。
テーマの絡めかた、構成は前作よりもよくなっているし、おまけ(『忘れたくないこと』)もなかなか効いている。敵役も印象的で、作品の完成度は着実に上がっている。採点は前作は5~6点、本作は6~7点といったところ。いろいろ勘案し6点とします。
本作では謎を一部残したままになっている。前作で印象的だったバックの孫テキーラが今作では控えめであったが、おそらく次作は家族が話の中心になるのではないかと。孫の出番も増えることだろう。

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