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ミステリの祭典

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裁かれる花園

作家 ジョセフィン・テイ
出版日2005年02月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 弾十六
(2025/05/03 23:30登録)
1946年出版。テイ名義第二作。翻訳は上質。
この時点では戯曲家Gordon Daviotと同一人物だと明かされていない。
この作品はミステリを期待せず、普通小説として読んだ方が良いだろう。卒業間近の体育大の女学校で、とある事件が起こる物語。
登場人物(ほぼ女性ばかり、たまに出てくる男たちも良い仕事)が生き生きとしてとても良い作品だと感じた。いつものように話の流れが良い。このまま事件が起きないで欲しい、と思うくらい、キャラに感情移入してしまった。京都アニメーションでアニメ化して欲しいくらい。
テイさんは体育学校での経験を書き留めておきたくなったのだろう。
伝記を読んでいて1949年にセイヤーズがテイさんをデテクション・クラブに誘っていた、という事を知った。残念ながら父の介護でロンドンになかなか自由に行けないのでテイさんが断ったようだが。
トリビアは後ほど。

No.1 6点
(2021/10/11 21:08登録)
前作『ロウソクのために一シリングを』の8年後、1946年発表です。世界が戦争に突入していった時代には、この作家、長編小説を全く発表していなかったんですね。本作は戦争の影など全く感じさせません。それまでの(次作『フランチャイズ事件』でも脇役で登場する)グラント警部は出てきませんし、そのことを宣言するかのごとき原題(”Miss Pym Disposes”)です。
心理学の本がベストセラーになったミス・ピムが、旧友が学長を務める女子体育大学で講演を行うことになり、そこである事件が起こるという話。日本の法律では、殺人罪は適用できそうにない事件です。
これは最後の4ページが衝撃を与える作品です。それまでは小説としてはおもしろくても、ミステリとしては誉められるべきところがありません。そもそも、事件の原因となった学長の行為に納得のいく理由が最後までつけられていません。しかしこのラストには何とも言えない気分にさせられます。

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