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ミステリの祭典

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寝室に鍵を
アイラ・コブシリーズ

作家 ロイ・ウィンザー
出版日1980年05月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2020/08/21 22:00登録)
(ネタバレなし)
「僕」こと新婚の大学助教授スティーヴ・バーンズは、年上の友人である元大学教授の名探偵アイラ・コブに招待されて食事を楽しんでいた。そんなコブたちのもとに、知人である富豪の老婦人アディ・ヒルから呼び出しがある。彼女の用件は、年下の夫エリス・ヒルとそのエリスの友人ロビー・ピアソンの行動に不審があり、エリスの利益にならないように遺言書を書き換えたいというものだった。コブたちはアディの希望通りに遺言書の公証人となる。が、その遺言を預かった直後、何者かがスティーヴを襲って気絶させ、懐中の封筒を盗んだ。そしてヒル家では、殺人事件が発生して。

 1976年のアメリカ作品。学者(&作家)探偵アイラ・コブシリーズの第三作目。
 本シリーズを読むのは、大昔に手に取った第一作『死体が歩いた』以来二つ目(ということでシリーズ二作目の『息子殺し』は、まだ未読)。
 ……つい最近、まったく似たような言い回しをしたような気がするが、まあいいや。特に狙ったつもりはない(笑)。

 動きのある話と、殺人の凶器を重視した捜査の手順は決して悪くないのだが、それでもどうも話が全般的に地味……というのとも、ちょっと違うな。

 序盤から展開される(中略)殺人の趣向とかなかなか結構だし、主要人物のひとりエリス(エリー)・ヒルなんかキャラクター造形がそれなり以上にしっかり書き込まれていると思う。ワトスン役のスティーヴの体を張った見せ場(一種のヌカミソサービス)もあるし……これでなんで、いまひとつ退屈というか、盛り上がらないんだろ? 
(ひとつ考えられることはあるが、それは後半の展開のネタバレ? になる可能性もあるので、とりあえずナイショにしておく。)
 
 第一作目の内容も完全に忘れているし、そっちも特に面白かったという記憶もない。
 この作家ウィンザーが21世紀に完全に? 世のミステリファンから忘れられているのは、仕方がないかもしれん。
 
 とはいえwebを調べていたら、このシリーズ(邦訳の3本)「土曜ワイド劇場」で翻案されて愛川欣也主演で「考古学者シリーズ」と銘打って2時間ドラマ化され、そのシリーズの第四作目以降はオリジナル脚本で展開。最終的に、なんと第19作目(!)まで作られたらしい。大ヒットですな。
 世の中、何があるかわからないもんだと、つくづく思うのであった。

No.1 5点 nukkam
(2015/08/14 16:49登録)
(ネタバレなしです) 1976年発表のアイラ・コブシリーズ第3作となる本格派推理小説です。遺言書書き換えのタイミングで発生する事件、金持ちを取り巻く容疑者たち、さらには重要な役割を果たす小道具として暖炉の火かき棒と、まるでアガサ・クリスティーが得意とした古典的パターンのプロットです。ただクリスティーと決定的に違うのは探偵が容疑者と直接やり取りする場面が意外と少ないことです。そのため容疑者のキャラクターが把握しにくく、小説としては若干味気なく感じました。推理はそれなりに理詰めですが、謎解き伏線が重箱の隅をつついたようなものばかりであまり印象に残りません。最後のどんでん返しが効果的なだけにもう一工夫あればと惜しまれます。

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