死のジョーカー |
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作家 | ニコラス・ブレイク |
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出版日 | 1964年01月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | 人並由真 | |
(2017/08/08 17:53登録) (ネタバレなし) 隠遁した61歳の老教授ジョン・ウォーターソンは、36歳の若い後妻ジェニーとともに片田舎のネザープラッシュで余生を送ろうと考える。だが村の人々とは次第に親しくなる一方、奇妙な怪事が続発。やがて中傷文を書き添えたトランプのジョーカーカードが村のあちこちに送られてくる。 ひとことで言えば自由奔放な一冊で、ブレイクの話術の妙味も実感させる長編。レギュラー の名探偵ナイジェルもの自体が相応にバラエティ感豊富だが、本作はさらに英国ミステリの定型を外した印象が強い。 主人公が老齢、村に潜む悪意などの設定や主題から、読む前は暗めの内容を予期していたが、実際にページを捲ると意外に軽妙にどことなくユーモラスに ストーリーが進むのも嬉しい驚きではあった。 なお後半4分の1の物語の捩れ具合は正に本作のキモで異様な迫力に満ちているが、 謎解きパズラーとしては登場人物の少なさから、どうしても意外性を欠くのが弱点。キーアイテムのジョーカーのカードの説明不足もどうかと思う。全体的には面白かったけどね。 |
No.1 | 5点 | nukkam | |
(2015/08/14 15:08登録) (ネタバレなしです) 1963年に発表された、シリーズ探偵不在のミステリーです。前半は典型的なサスペンス小説で、事件によって人間関係や心理状態に微妙な変化が生じていく様子を丁寧に描いています。大きな事件は後半にならないと起こりませんが退屈しないプロット展開はお見事で、最後は本格派推理小説としてしっかり謎解きして締めくくられています。ハヤカワポケットブック版は裏表紙の粗筋紹介で後半の出来事まで紹介しているのが勇み足だと思いますし、翻訳も半世紀以上前の古いものなので新訳版で再版してほしいです。 |