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ミステリの祭典

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検事の死命
佐方貞人シリーズ

作家 柚月裕子
出版日2013年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 HORNET
(2017/06/01 22:42登録)
短編「心を掬う」「業をおろす」2編と、表題作である中編「検事の死命」の3本立て。平均的にクオリティが高い。ただ、「業をおろす」は前作にあたる「検事の本懐」を読んでからの方がよいと思う。

 表題作「検事の死命」は、電車内の痴漢容疑をめぐる法廷ものだが、万引き・恐喝で逮捕歴のある、痴漢をされた側の女子高生・玲奈と、社会的名声や立場がある容疑側・武本とが、人物的にはどちらも怪しく感じられるところに著者の設定の妙を感じる。佐方が女子高生側に立つ役割である以上、ある程度の結末は見えるのだが、その過程を十分に楽しめる。
 しかしながら、ある人物とある人物の接点についてあまりに軽い追及で進んでいってしまったのは、それによってほぼ最後の突破口が分かってしまった(笑)
 
 

No.1 7点 ボンボン
(2015/07/19 23:39登録)
前半では、このシリーズを通して少しずつ語られてきた、佐方検事の父の謎がついに明かされる。
後半は、「真っ当」であることを貫ける検事と、それを「青臭い正義」と言ってしまう弁護士の対決。
全4話が収録されているが、「業をおろす」や「死命を決する」などの題名のとおり、重い問題にみんな白黒ついて、本当にスッキリする。
こちらの想像する結末に、もう一つ裏が付き、さらに驚きの真実が加わる、という具合で本当によく出来ている。
(一つ引っかかったのが、井原弁護士は、敏腕のようでいて、実はちょっと迂闊過ぎ?プロの弁護士が裏を取らないで裁判しちゃうかなあ、というところ。)
ああ、佐方貞人シリーズ、どんどん続けてほしい。

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