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ミステリの祭典

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異邦人(いりびと)

作家 原田マハ
出版日2015年02月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 makomako
(2023/03/05 08:30登録)
 前半ぐらいまでは京都の風情を感じてとてもよい。川端康成の古都を感じさせると解説にあったが、私はむしろ細雪かなと思ってしまう素晴らしい感性が感じられました。
 物語としては奔放な母親と娘が出てきます。娘のご主人となった男はこれらに振り回されて大変な目にあいつつも頑張るのです。ことに娘はまれな審美力があり美がすべての大金持ち令嬢。美のためなら何でもやってしまう。家がつぶれようがだんながむちゃくちゃになろうが構わない。旦那は平身低頭頑張るのですが、ついにはほぼ破滅の道へと転落する。でも彼女は全然平気。
 物語は後半になりかなり乱れてきて、最終的に意外な結末となります。これを推理小説ならどんでん返しとするのでしょうが、本作品は伏線も何もなく突然いろいろな経歴が暴露されます。はっきり言ってこんな経歴となるような性格の登場人物ではないので唖然とするよりあきれるといったほうがよい感じでした。前半だけなら素晴らしいのですが残念です。
 作者は娘を理想の女性としていると解説にありましたが、もしそうなら作者とはお近づきにはならない方がよさそうです。

No.1 5点
(2015/05/25 10:11登録)
作者お得意の美術ミステリーです。お得意といっても、作品にはミステリー自体があまりなく、『楽園のカンヴァス』以来、チェックしていましたが、今回やっとそれらしいものを見つけた次第です。

たかむら画廊の専務である篁一輝と、その妻、有吉美術館の副館長の菜穂の2視点で交互に語られる。

菜穂は副館長といっても、妊娠を機に、原発汚染を逃れるため、ひとり京都での優雅な生活を始めるセレブの若奥様。事件らしきものは起こらず、金持ちにとっての日常の話がなんとなく語られていく。
そんな退屈な中、京都の画廊で新人画家・白根樹を見つけ出す。それが運命的な出会いなのだろうが、中盤にあまり変化はない。
ところが後半、東京の画廊や美術館、その親会社が急に危なくなったあたりから、菜穂が東京の夫や両親たちと気まずくなり、ラストのサプライズに向けすこしずつ物語が動き始める。
この後半に語られる、どろどろとした家族的背景はなかなか壮絶。

キャラとしては、菜穂の奔放さが際立っています。目利きだからこそ許される性格なのかもしれません。こういう人が奥さんだと大変かもw
一方、夫の一輝が菜穂と親たちとの間でおろおろする姿がなんとも滑稽です。

推理力を働かせるようなストーリーではありませんし、どんでん返しというほどのものもありません。
ミステリーとしては『楽園のカンヴァス』にくらべかなり落ちますが、エンタテイメントに純文学を加味したようなものを読みたい人には勧めてもいいかなという感じです。

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