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ミステリの祭典

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夜明け遠き街よ

作家 高城高
出版日2012年08月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2025/07/11 12:53登録)
バブル期のススキノを舞台にしたノワール小説。キャバレーの副支配人、黒頭悠介を主人公にススキノの夜の世界を描いて間然とするところがない。時代考証、風俗考証も行き届いている。
緩やかな連関を持つ連作短編集で、一つ一つのエピソードに工夫があり、それが全体としてススキノを浮かび上がらせる凝った構成になっている。登場人物の風貌や服装、表情の動きなどを精細に描写し、それによってその人物の性格、心理を描き出している。

No.1 6点
(2021/03/16 23:15登録)
2012年に出版された本作は、1980年代後半のいわゆるバブル期の札幌ススキノを舞台とした7編を集めた連作短編集です。共通する主役はキャバレーの「サブマネ」(副支配人)黒頭(くろず)裕輔、キャバレー等のスタッフを意味する「黒服」という言葉が使われています。
読む前から予測はしていたのですが、当時の華やかな夜の世界、ヤクザや政治家への賄賂なども出てくる話が集められていて、黒頭が問題解決にあたることが多いとは言え、明確にミステリと呼べる作品は多くありません。『フィリピン・パブの女』、『夜明け遠き街』の2編が、まあ一応謎や捜査が中心になっているかなというぐらいです。他に、『赤ヘネと札束の日々』にも犯罪は絡んできますが、それが中心でもありません。そのラストの電話、「笑い声が途中で切れた。」の1文で終わるところ等、やはりハードボイルドらしい感覚ですが。

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