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ミステリの祭典

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その男 凶暴につき
パラダイス市警察署長フランク・テレル 、マーク・ガーランド

作家 ハドリー・チェイス
出版日1972年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 斎藤警部
(2024/07/21 00:00登録)
“フォーミュラ” なる激ヤバのブツを巡り、巨万の富の実業家とその配下たち、警察、FBI、CIA、夜の街の住民、精神を病んだ天才科学者等々が激突する暴力と頭脳戦の顛末を描く大花火大会。

前半の犯罪小説と後半の警察?小説(そんな簡単に割り切れません)とで主人公群の方向ガラリと切り替わるのが良い。 後半の中の前半と後半とでもやはり何かが切り替わる。 スリルは変わらない。 ふんだんに登場する人物のディテイル描写はリアルにして繊細。 造りの安っぽさはあるが、これほどイカした読み捨て小説を前に何の文句があろう。

「(前略) いまは若いならず者でしかない。十年後――いや、二十年後には―― (後略)」

心温まる、或る ”コーヒー” のシーンが記憶に残る。 結末を知ってみれば尚更だ。 或ることに関する最後の反転は不意を突かれ、ちょっと泣けた。

静かに動き出すラストシーンは程よく眩しい。 個人的にいちばん魅力的な登場人物を照らして終わるのも実に良かった。

No.1 6点
(2015/03/28 00:06登録)
邦題については、北野武監督の映画とは、「男」の後に読点がつくかどうかだけの違いですが、内容は全く無関係です。またジャンル的にも、創元推理文庫では拳銃マーク(ハードボイルド/警察小説)であるものの、武映画のような無骨なリアリズムとは無縁です。テレル署長を始めとするパラダイス・シティ警察シリーズの第4作だそうですが、警察小説でもありません。ほとんどSF的とも言える新発明金属を事件の核とした荒唐無稽な冒険/スパイ・スリラー系作品でした。ちなみに邦訳出版は1972年なので、武映画の17年前。
全体的には手慣れた感じで、普通におもしろいという程度だったのですが、最後にはとんでもない結末が用意されていました。いや、結末そのものは、純粋なSFじゃないんだからそうならざるを得ないだろうと予測できるのですが、その結末の原因が、肩すかしというか意表外というか、チェイスらしいのです。

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