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ミステリの祭典

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バラの中の死
傑作推理小説集

作家 日下圭介
出版日2015年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2018/03/08 17:56登録)
1975年に「蝶たちはいま・・・」で江戸川乱歩賞受賞。
作者についてはその程度の知識しか持ち合わせていませんが・・・
粒ぞろいの短編から選りすぐられた作品集(とのこと)。

①「砕けて殺意」=悪く言えば「実に古臭い」ミステリー。真相は「何じゃそりゃ!」というようなもの。でもなぜか味わい深い。
②「流れ藻」=これも何とも言えぬ味わいを醸し出すミステリー。日本海側の荒波が目に浮かぶような・・・。実に「昭和」を感じさせる。
③「突然のヒマワリ」=ヒマワリが真相解明のヒントとなる本作。ここまで読むと、作者の作風がなんとなく読めてくる。
④「バラの中の死」=実に美しい「殺人現場(?」。それだけが印象に残った。それ以外は「う~ん」・・・
⑤「暗い光」=タイトルどおり何とも“暗さ”を感じさせる作品。この「甥」キモイって思うのは私だけだろうか?
⑥「木の上の眼鏡」=これはよくある手といえばそうなのだが、ジワジワ効いてくる佳作。ラストは「やっぱりね」とは思うんだけど・・・
⑦「木に登る犬」=なぜ犬が木に登る(登ろうとする)のか? それが真相解明の重大なヒントとなる。
⑧「鶯を呼ぶ少年」=これも・・・暗い作品だなぁー。何ともいえずしんみりしてしまう。

以上8編。
良く言えば「味わい深い」「渋い」、悪く言えば「重い」「ジメジメした」というところか。
確かに清張を彷彿させるところはあって、それはつまい「旨い」ということなんだけど、読めば読むほど“どんより”した気分になってしまう。
登場人物がまたジメジメしてるのだ。
退職後の警察官や田舎でイジメにあっている少年、子供を失った中年男・・・etc

評価としては・・・うーんこんなもんかな。
別に悪い作品ではないのだが、積極的にオススメできるものでもない。
渋い作品が好みなら是非どうぞ。
(ベストは⑥かな。あとは⑦か②というところ)

No.1 6点 kanamori
(2015/04/24 18:43登録)
”傑作推理小説集”と銘打たれた短編集。既刊の6冊の短編集(1984年~94年刊)のなかから7編が採られている。(『偶然の女』『瓶詰めの過去』収録の3編は初読)

収録作の中では有名どころの、日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した「木に登る犬」と「鶯を呼ぶ少年」がやはり目を引きます。両作品とも、自然豊かな地方の町を舞台に、小学生の男の子が重要な役割をするという構成が共通し、共にラストでどんでん返しを仕掛けているが、個人的には哀切な幕切れが印象に残る後者をベストに推します
「流れ藻」は、新潟の海での心中事件を発端とした錯綜した人間関係と事件の隠された構図を、退職後に元巡査が謎解いていく、清張ばりに読み応えのある力作。
動植物の特徴や習性を事件に絡ませるのが作者の十八番で、そんななかでは「突然のヒマワリ」や「木の上の眼鏡」が最もそれが効果的に使われているように思えた。
総体的に粒揃いの作品集ながら、まだ「紅皿欠皿」「緋色の記憶」といった名作も残っているので、第2弾が出ることを期待したい。

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