人魚とビスケット |
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作家 | J・M・スコット |
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出版日 | 1957年01月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 弾十六 | |
(2020/02/20 03:44登録) 1955年出版。現実の新聞に載ってた個人広告、それって本当なのかな?とネットで調べてみたのですが、よくわかりません。原文も知りたかったのですが、簡単には手に入らないようです。九マイルの人風に、あれこれ想像する話のほうが楽しそう。この小説自体は実際に起こったことに近いとは思えない展開でした。あーでもない、こーでもない、とちゃんと推理した人、いませんか?(新聞広告自体がフィクションなのかな?) …という感じ(若干変更)で2015-2-7にアマゾン書評に書いたのですが、今、Web検索したら2018年にJohn Higginsさんが詳しいことを書いてくれています。個人広告の最初の文、Sea-Wyf. Home at last. Please get in touch. Biscuit.で検索してみてください。現実のDaily Telegraphに1951-3-7から3-21までに載った原文が全て掲載されています。当時はけっこう話題になったらしく、Daily Mirrorが全やりとりを1951-5-26に転載し、フランスやオーストラリアでも取り上げられたようです。ただし、当時J. M. ScottはDaily Telegraphのスタッフだったというので、もしかするとウケ狙いのでっち上げだったのかも。この小説は同社を辞めた後に発表してるところが怪しい… (私がこの作品を知ったのはミステリ・マガジンの山口雅也さんの絶版本紹介の連載でした。創元文庫が出たときにはとびついたものです… 前評判が高すぎてガッカリしたところもあるので、落ち着いて読んだら結構面白い作品なのかも。2015年の書評もぼんやりとした15年前?の記憶で書いてます。) |
No.1 | 7点 | 空 | |
(2020/02/19 20:35登録) 「海洋冒険小説とミステリの見事な融合として名高い幻の傑作」 1955年に発表された本作の大半を占める海洋冒険小説部分の時代設定は1942年。第二次世界大戦中、シンガポールを出港した客船が日本軍によって撃沈されたことから始まる男女4人の漂流物語です。この部分は冒険と言うより極限状況での4人の心理的な葛藤が読みどころで、実におもしろくできています。 ただ、ミステリとの融合ということではどうなんでしょう。絶賛されているらしい冒頭の1951年春の新聞個人広告欄は、どうでもいい感じがしました。巻末解説によるとこの個人広告自体は実話だそうですが、そこから架空の漂流物語を創り上げたことを『九マイルは遠すぎる』とも共通すると褒め上げるのは、違う気がします。最後の「現在」に戻ってからの、特に人魚の正体には、説得力のある意外性がありましたが。 |