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ミステリの祭典

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サナキの森

作家 彩藤アザミ
出版日2015年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 makomako
(2017/11/03 20:16登録)
 いきなり古い文体のお話が登場して、すぐ後から現代語となるといった展開はそれほど珍しいものではないと思いますが、されをうまく絡ませて展開しているところはなかなか良かったと思います。
 主人公が女性が書く女性で、セックスアッピールに乏い。こんな女性はわかっている男から見ればいじらしくて魅力的なのですが、もう一つそれが伝わってきません。対する美少女も目が真っ赤で気味悪いなんて。男が書けば絶対そんなャラクターにせず、奔放な美少女にするところでしょうがねえ。
 密室事件としてのトリックは単純で、確かにこういった小説を読みなれている人にとっては種がわかりやすいようにも思いますが、私としては興味深く読みました。次作に期待します。

No.1 6点
(2017/07/22 09:15登録)
第1回新潮ミステリー大賞受賞作で、選考委員たちは作者の文章を褒めています。確かに現代を描く軽い文体と、作中作の旧字体を使った古風な文章の使い分けという、なかなか凝ったことをやっています。途中でこの作中作、在庭冷奴(あらばれいど)著『サナキの森』が50ページぐらいだと書いてありますが、本当にその長さのこの話はそれ自体完結した恐怖小説になっています。
事件そのものは、その作中作と人物設定で共通点の多い、80年前に田舎で起こった密室殺人です。トリックは意外に複雑なことをやっているものの、原理的には、密室に慣れた人ならたぶんすぐ見当がつくものですが、話の骨格のシンプルさは悪くないと思います。ただ実際の事件と共通点が多いと言っても、作中作との繋げ方は今一つといったところでしょうか。
主役の「私」の不器用な恋愛も、事件とは全く無関係ながら、ここまで書き込まれれば良しとしましょう。

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