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ミステリの祭典

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皆殺し
マット・スカダー

作家 ローレンス・ブロック
出版日1999年10月
平均点8.00点
書評数2人

No.2 8点 Tetchy
(2015/09/06 00:14登録)
色々なサプライズと“倒錯三部作”のスリルを凌駕するほどの戦いを孕んだ作品だ。

以下ネタバレ

 世界中に伝承される破壊の女神は世界を焼き尽くす。それはまた新たな世界を作るための破壊である。このマット・スカダーシリーズもまた本書で一旦全てを喪う。ミックは上に書いた仲間とグローガンの店に加え、オマラ夫妻が管理する農場をも失う。
マットもまた例外ではない。永らく彼の助言者だったジム・フェイバーを喪い、彼の魂の駆け込み寺だったリサ・ホルトマンを、そしてようやく得た探偵許可証も失うことになりそうだ。
全てを失い、そしてまた新しい日が始まる。恐らくこのシリーズもまた。

哀しい事ばかりが起きた作品だった。それまで人伝えにしか解らなかったミック・バルーという男の凄まじさを知らされた作品だった。シリーズを読みながらも驚きと知らないことがあることを気付かされる。それはまさに人生そのものではないだろうか。

No.1 8点 あびびび
(2014/12/15 17:47登録)
今まで、チャンドラー、ロス・マクドナルド、ロバート・B・パーカーとハードボイルドを読んできたが、このマット・スカダーシリーズは自分の中では集大成みたいな感覚。

洒落た文句があるわけではないが、会話のうまさ、読後感の良さが満足感を増長させる。

ただ、物語は残酷で、ずっと親しんできた人間が次々に死んでしまう。まさに、「皆殺し」である。この先、このシリーズはどうなるのか?

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