〔少女庭国〕 |
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作家 | 矢部嵩 |
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出版日 | 2014年03月 |
平均点 | 5.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 7点 | 虫暮部 | |
(2014/12/15 20:40登録) 私は賛。面白かった。読みながら“なんじゃそりゃ!”と100回くらい口走っちゃったけど。 変則的なルールを設定して、更にその抜け道を作者自身が一生懸命探す感じは西澤保彦あたりを思わせる。コロンブスの卵だけど“壁を壊す”には拍手した。 |
No.2 | 3点 | メルカトル | |
(2014/12/07 22:01登録) 内容はともかく、まず非常に読みづらい。難読漢字にはふりがなをうつべき。例えば、肉刺をなんと読むか、フォークと読める人は多くないのでは。ところが本書にはただの一つもかなを振っていない。こんな小説読んだことがない。それと、会話文はともかく、地の文に読点が欠損しすぎており、一瞬どう読んでよいのかわからない文章がかなりある。これも不親切ではないだろうか。 前半は若干面白い部分もあったが、後半はまるでつまらない。どれほどつまらないかと言うと、『経済原論』と肩を並べるくらいつまらない。後者はとりあえずためにはなるが、この小説はためにもならないし。 SF的な展開なのは別に文句はないが、説明されていない事柄が多すぎるだろう。石でできた部屋に少女が一人ずつ閉じ込められて、それがドアを通じて延々と続いている、特別問題ない。さらに開拓が進められて一つの国が出来上がる、それもいいだろう。だが、自転車はどうやって作られたのだろう、或は種は誰かのポケットに入っていたとしても、畑の土はどこから調達したのだろう。何より、閉じ込められた目的は?誰が?どうやって?SFとはそういった様々な疑問点を無視して、投げ出してもいいものなのか。奇想だ奇書だと称賛する声もあるようだが、私には理解できない。 ミステリなら1点だよね。 |
No.1 | 7点 | アイス・コーヒー | |
(2014/11/25 18:55登録) 卒業式に出る予定だった女子中学三年の生徒、仁科羊歯子は気が付くと暗い部屋に寝ていた。部屋には二つの扉があるものの、片方にはノブがなく、もう片方のドアの先にはもう一人の少女が眠っていた…。 〈ドアの開けられた部屋の数をnとし、死んだ卒業生の数をmとする時、n-m=1とせよ〉という条件下で行われる「卒業試験」。黒幕の正体も、永遠に続いていく部屋の正体も不明…という設定はいかにもクローズドサークル型の本格ミステリを思わせるが、その内容はかなりSF的。 本作の興味深い点は「クローズドサークルから脱出する」ことではなく、「クローズドサークルで生活する」ことに焦点が当てられている点。これ以上の言及はネタバレ防止の為自重するが、作中、登場人物の一人が清涼院流水のファンであると公言していることから「コズミック」のオマージュ的要素があるのかもしれない。 著者は日本ホラー小説大賞でデビューしただけあって、直接的な描写はないものの内容は割とグロテスク。その意味でも賛否両論を巻き起こしそうな作品だが、一読の価値はあるだろう。 |