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ミステリの祭典

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心憑かれて

作家 マーガレット・ミラー
出版日1990年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2021/03/08 22:43登録)
そりゃ評者にだって、苦手作家はいるものだ。ミラーって苦手、というかなぜかあまり関心がない。この一週間忙しかったのもあるんだけど、本書を少し読んでは中断し...で妙に時間がかかってしまった。別に難しい小説じゃないんだけどね。
本作の邦題は「心憑かれて」だけど、原題はシンプル「The Fiend」。Friend じゃないのがミソで、Fiend は「悪魔」とか「魔神」とか「悪霊」とか、そういう意味。特に主人公はなくて、三人称で内面も等価に描くスタイルなんだが、軸の一人になるチャーリーに「少女の敵」な前科がある。チャーリーはそれを克服したようでも、いまだにその欲望(魔神)に振り回されて右往左往するさまが、気の毒というか情けないというか....でも、そのチャーリーに人生を振り回されて困惑する兄のベン、婚約者になったルイーズの方が評者は印象的だ。
だから、本作「異常心理物」という感覚は希薄で、郊外ニュータウンの狭っ苦しい人間関係の中で、微妙にコワれてくる気の毒な人たちの話。事件らしい事件も3/4くらいにならないと起きないし、その結末もあっさり。サスペンスらしくもなくて、社会派、というジャンル分けをしても評者はそう意外には感じない。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2014/11/06 20:22登録)
裏表紙より~『八月も終わりに近づくと、夏の自由に飽いた子どもたちが、また小学校の運動場に戻ってくる。すり傷だらけの手足をかかえ、汗を飛ばして逝く夏を謳歌する彼らの姿を、三十二歳のチャーリーは密かに見守りつづけた。こんなところにいてはいけない。それはわかっていた。精神科医の、そしてあの保護監察官の言葉が脳裏をよぎる。だが、もうしたがうことはできない。ひとりの少女に、どうしようもなく心とらわれていたからだ…!夏のカリフォルニアに精神異常の烙印を押された男が巻き起こす、緊迫の物語。読む者を震撼させる結末の逆転劇は、まさに名手の真骨頂。比類なきサスペンス。』~
事件は3分の2が過ぎるまで起こらないのですが、飽きることはありませんでした。登場人物の誰もが事件を引き起こしてもおかしくないような雰囲気で読ませます。このあたりがサスペンスの醍醐味かもしれません。裏表紙にあるような震撼するような結末ではないのですが、急展開は著者らしさを感じることはできました。

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