九連宝燈殺人事件 |
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作家 | 藤村正太 |
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出版日 | 不明 |
平均点 | 3.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 3点 | nukkam | |
(2022/12/10 23:56登録) (ネタバレなしです) 藤村正太(1924-1977)は短編作家としてスタートしていますが短編集が出版されたのは1973年発表の本書が最初かもしれません(きちんと調べていないので間違ってたらごめんなさい)。麻雀推理としては長編の「大三元殺人事件」(1972年)に続くもので、「大三元殺人事件」は麻雀を知らない読者でも鑑賞に困らないと思いますが本書に収められた6作品はどれも麻雀が密接にプロットに結びついていて読者を選びます。その内4作品は主人公がギャンブル麻雀で勝利するためにあれこれ策を弄する内容で、個人的には非ミステリーの通俗小説に映りました。残り2作品はまあ本格派推理小説と言えなくもありませんが、「国士無双殺人事件」のアリバイトリックはひどいですね。犯人に都合いい証言だけ揃えて成立させていますけど、関係者全員に確認したら全員共犯でもない限りすぐ破綻ではないでしょうか。「九連宝燈殺人事件 」が唯一まともな謎解きに感じましたが、これも大方の読者は予想しやすい浅い謎解きだと思います。 |
No.1 | 4点 | kanamori | |
(2014/12/22 20:16登録) ”麻雀推理”と銘打たれたミステリ短編集(6編収録)。 作者の麻雀推理(役満)シリーズは、70年代に長編「大三元殺人事件」のほか4冊の短編集があり、本書は第1短編集のようです。乱歩賞を獲る前に、賭けマージャンで生活費を稼いでいたという作者だけに、その経験を活かした内容となっていて、阿佐田哲也の麻雀小説のように随所に手牌を図示しているところなど面白く読めるのですが----------。 残念ながら謎解きミステリとしては、”本格ミステリ冬の時代”を実感できるような内容となっていますw ”推理モノ”というだけでは売れないため加えたプラスアルファ部分(麻雀)のほうに重点が置かれてしまい、結果的に推理部分がお座成りになっているように思います。 そんな収録作の中でも、最初の「国士無双殺人事件」がまずまずの出来で、アリバイ・トリックや手掛かりは麻雀の特殊ルールに拠るものですが、麻雀に興味ない人が本書を読むとは思えないのでこれは許容範囲でしょう。 表題作は、ゲン担ぎに凝る主人公が不吉なジンクスがある大役満”九連宝燈”をアガってしまったことから巻き込まれる殺人事件の話ですが、ありがちな真相で先の展開が読めてしまうのが残念です。 それにしても、普通の会社員や公務員が雀荘で初めて会った素性の分からない人物と平気で賭けマージャンの卓を囲むという設定が、ちょっと理解できないですね。 |