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ミステリの祭典

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密室の神話
南美希風シリーズと同じ世界

作家 柄刀一
出版日2014年10月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 HORNET
(2014/12/25 00:35登録)
 「密室トリック」という、昨今は専ら扱われなくなったテーマを前面に出した本格ミステリ。時にこうしたコテコテの本格にどっぷり浸りたくなる。そんなタイミングだったので、読み進めるのはとても楽しかった。
(以下ネタバレ気味かも)
 がしかし、結末があまりに消化不良…。
 まず、「四重密室」。ネットユーザーたちがあの手この手でその謎に挑む推理合戦が本編中繰り広げられるが、そこで開陳される機械的なトリックをひっくり返すような真相がほしかった。結局真相もその延長線上のような、言葉は悪いがちまちましたトリックのように感じた。
 次に、動機が非常に観念的な感じがしてしっくりこない。真犯人、あるいは真犯人の人間像について最後にもうひと返し欲しかった。てっきりそうなるのかと思っていたのに、そのまま終わってしまったのが一番の消化不良。
 あとは、5年前の事件の黒幕は結局誰なのか、とか、最後のほうにあった記者と管理人とのひと悶着はどうなったのかとか、解決されないまま終わってしまった部分が多すぎる。
 続編はないのかな。というか、あってほしいと願う一冊だ。

No.1 5点 kanamori
(2014/11/12 21:01登録)
北海道の裏幌市にある美術専門学校の別棟アトリエで、T型定規に架けられ異様な装飾された学生の変死体が発見される。現場は三重に施錠された密室で、しかも建物の周りが雪で覆われた難攻不落の”四重密室”になっていた----------。

これぞ柄刀ミステリという設定で、フリーカメラマン・南美希風に打って付けの不可能犯罪モノですが、(登場人物の口から名前は出てくるものの)そのシリーズ探偵は登場しません。それでは探偵役は誰かというと、刑事やサークル仲間をはじめ、多くの登場人物が探偵役になっており、しかも集団探偵ものではなく、それぞれの立場で別々の角度から事件に対峙する構成になっているのがユニークなところです。
最終的に謎を解くのは誰か?というのも作者のやりたかった趣向の一つではないかと思いますが、そのため多くの人物の視点で語られるので、物語がなかなか進展しないという難点があります。
また、メインの密室トリックの仕掛けの部分が(北海道という土地柄を活かしたところだけは良ですが)、個人的にはあまり面白く感じるタイプの密室トリックではありませんでした。”犯人”の動機の面でも色々と納得がいかないところがあります。

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