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ミステリの祭典

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湖畔の殺人
ノース夫妻シリーズ

作家 フランセス&リチャード・ロックリッジ
出版日1957年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2018/03/31 22:57登録)
(ネタバレなしです) 劇評論家として有名な米国のリチャード・ロックリッジ(1898-1982)とその妻フランセス・ロックリッジ(1890-1963)はコンビ作家としてノース夫妻シリーズやヘイムリッチ警部シリーズなど50作近いミステリーを書きました。フランセスの死後もリチャードは単独で更に20作以上発表しています。特に人気が高かったのが出版社社長のジェラルドとその妻パメラのノース夫妻シリーズです。デビュー作は「ノース夫妻」(1936年)という非ミステリーのコメディー短編集でしたが1940年発表の長編第1作からはミステリーシリーズになりました。1941年発表の本書はシリーズ第2作長編です。ノース夫妻以上に活躍しているのがウエイガンド警部で、真相を突き止めるのはウエイガンド、ノース夫人のパム、そしてリチャード・ノースの順番でした。しかもウエイガンドには謎解きとは別に重要な出来事が待っています。16章の終わりには「読者への挑戦状」風なメッセージがあって本格派推理小説として予想以上にしっかりしています。終盤の活劇がサスペンス豊かなのも嬉しい誤算でした。惜しまれるのは六興推理小説選書版の登場人物リストで、何人かの容疑者が掲載されておらず犯人が(私でも当てられたぐらい)わかり易くなってしまっています。

No.1 6点 kanamori
(2014/09/24 22:11登録)
ウェイガンド警部は、旧知のノース夫妻に招かれ、ニューヨーク郊外にある湖畔の保養地に休暇を過ごしにやってきた。ところが、何組かの滞在者を交えた夜のパーティが終わったあと、湖畔の茂みの中に若い女性の殺害死体を発見する。さらに翌朝には、べつの女性が黒焦げの焼死体で見つかり--------。

作者のロックリッジ夫妻をモデルにしたともいわれる素人探偵コンビ、ノース夫妻シリーズの第2長編。
ノース夫妻は、元々はコメディ・タッチのホームドラマの主人公として創造された経歴(?)なので、もっと軽妙なユーモア・ミステリかと思っていましたが、意外や意外、二人の女性の連続殺人を扱った本格的なフーダニット・ミステリでした。終章近くには”読者への挑戦”じみた作者のコメントまで出てきます。また、ウェイガンド警部がニューヨークに帰り、動機を持つ滞在者たちの裏付け捜査をする中盤以降の展開は警察小説としての味わいもあり、終盤のカーチェイスによる盛り上げ方も上手く(50年以上前の出版で訳文が古いのが難点ながら)、まずまずの出来で楽しめました。
なお、のちに別シリーズの主人公となる州警察のヘイムリッチ警部(本書中の表記は「ハイムリッヒ警部」)も登場しますが、終盤は目立たない存在になっています。また、ノース夫妻もほとんど探偵活動をしておらず、本書の主役はウェイガンド警部ですね。

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