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ミステリの祭典

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なぜなら雨が降ったから

作家 森川智喜
出版日2014年09月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 6点 アイス・コーヒー
(2014/12/16 18:00登録)
ストーリーはあってないようなもので、その点はほとんど成長が見られないのだが短編集だからかあまり気にならなかった。雨女探偵の揺木茶々子と、彼女と同じアパートに引っ越した大学生の野崎圭人の二人が出会う様々な事件を「雨」を使ったロジックで解決していく内容。

茶々子が出かけるときは必ずと言っていいほど雨が降る、という無茶な特殊ルールを活かしてそこから推理を広げていくという発想には感心した。まだまだ論理に改善点はあるように思うが、悪い印象は受けない。
中でも「狐の嫁入り」は鮮やかなトリックと見事な結末に至るまで完成度が高く、一読に値する出来だ。何より茶々子の無茶苦茶飛躍した推理が良かった。その他の作品も悪くはないのだが、何しろ地味でもう一工夫欲しいところだった。
著者の本流「三途川理」シリーズもそろそろ読んでみたいし、今後この才能がどう開花するかに注目。

No.2 4点 虫暮部
(2014/11/13 20:19登録)
 文体やキャラクターといった小説的な部分が妙につまらない。ミステリ要素にしても、第四話の雪女の件は面白かったがあとはなんだかな~。がっかり。

No.1 5点 kanamori
(2014/11/02 18:36登録)
大学に入学した野崎圭人は、引っ越し先のアパートに住む女性・揺木茶々子と知り合う。彼女はアパートの一室で探偵事務所を開いていて、なぜか雨の日になると事件に遭遇する”雨女探偵”だった----------。

作者のミステリは初めて読みます。他の作品の内容紹介や書評を見るかぎり、特殊設定をベースに特異な探偵が登場する一風変わった本格ミステリの書き手という印象だったのですが、そういう意味では、本書はこの作者にしては割と”普通の”連作ミステリになっているように思います。
内容は、謎解きのロジック展開を主軸とするもので、警察が関与する事件もあれば、日常の謎もあり、よく言えばバラエティ豊かです。ただ、提示される謎がいずれも小粒なため、謎解きにそれほど魅力を感じなかったというのが率直な感想。
5話ともに、”雨降り”が事件の性質や謎解きに関係するという作者による共通の”縛り”を設けている点は評価できるかな。

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