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ミステリの祭典

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麗しき疑惑―西村京太郎自選集〈2〉

作家 西村京太郎
出版日2000年11月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 蟷螂の斧
(2023/05/28 10:47登録)
①白い殉教者 8点 雪の降ったH公園で女優に似た蝋人形の刺殺体が発見された。蝋人形の位置から7m離れたところに車の轍があった。雪密室の予行練習か・・・石庭(7m離れた場所から足跡を付けずに、どのような方法で蝋人形を置いたのか?なるほどね)
②アンドロメダから来た男 7点 隣家に男が引っ越してきた。男は一番大事なものは何かと問う。すると翌日、その物が消えてしまう。男の商売は物を転送することだという・・・長持ちにあるものを入れて(オチは予想できるも面白い)
③首相暗殺計画 6点 昭和13年、特急「富士」に乗車した近衛首相を暗殺すべく刺客が送り込まれた・・・陸橋での急停車(皮肉な計画くずれ)
④新婚旅行殺人事件 7点 ハネムーンに出かけた新郎の刑事と新婦。車中で時限爆弾が爆発し新婦が死亡。容疑者は青森にいて完璧なアリバイがあった・・・「はつかり」「やまびこ」(十津川警部初登場。作者は時刻表とにらめっこしたんだろうな)

No.1 7点 E-BANKER
(2014/08/07 21:49登録)
徳間書店で編まれた作品集。
400を超える短編の中から厳選された自薦集の第二弾。バラエティに富む作品が並んだ作品。

①「白い殉教者」=1975年発表。昨今の作者の作風とは全く異なるプロットと風合い。いわゆる雪密室をテーマにした作品なのだが、トリック自体は出来がいいとは言えない。でも、名探偵役として登場する徳大寺京介がいい味を出してる王道の探偵小説。
②「アンドロメダから来た男」=1976年発表。本作中最も毛色の異なる作品。何しろ完全なSFなのだから・・・。別にオチもなにもないのだが、ラスト一行が何とも気が利いている。
③「首相暗殺計画」=1981年発表。首相××というと、作者には首相誘拐計画を扱った「ゼロ計画を阻止せよ」という名作があるが、本作は日中戦争突入間近というきな臭い雰囲気の中、近衛首相の暗殺計画が描かれる。暗殺計画の舞台が超特急「つばめ」の車内というのが作者らしい。
④「新婚旅行殺人事件」=同じく1981年発表の中編。本作中唯一、十津川警部と亀井刑事の超名コンビが登場するトラベルミステリー。新婚旅行中の花嫁が列車の中で爆死するという壮絶な事件が発生するが、犯人と目星をつけた人物には鉄壁のアリバイがあった・・・という定番のやつ。でもまあ、この頃は各列車の特徴に目をつけたトリックが用意されていて、トラベルミステリーもたまにはいいものだという気にさせられる。何しろ、まだ東北新幹線も走ってない頃の東北本線が舞台なのだから・・・(「やまびこ」「はつかり」「ひばり」・・・ってよかったなぁ)

以上4編。
さすがに400編超の短編というのは伊達ではない。
特に70~80年代の作品なら、作者のアイデアが十分に込められていて、ミステリー作家としての力量を感じることができる。

本作では特別トリッキーな趣向は出てこないが、ミステリー好きの要求に応えるだけの水準作品が並んでいる。
そんな読後感。
(②が印象に残った。①③もなかなか)

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