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ミステリの祭典

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深夜の市長

作家 海野十三
出版日1980年09月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 クリスティ再読
(2022/12/25 23:10登録)
東京を思わせるT市。そこには昼の貌とは全く違う迷宮のような夜の世界が存在していた。「深夜の市長」と呼ばれる怪老人に、殺人を目撃した主人公は救われるが、これは市政の対立を背景とする暗闘の一幕だった。主人公は次第に「深夜の市長」に導かれて夜の世界に深入りしていく...

とまとめればそう。けどね、主人公は探偵作家兼司法官試補なんて二股をかけた極楽トンボで、「深夜の市長」もべらんめえが楽しい。市長を尊敬するお照やらその子で「怪児」なんて呼ばれる絹坊、マッドサイエンティストやら「T市の鍵」の紛失事件やら、いろいろ絡んで深夜のT市を主人公が駆け回る話。
今となってはややわかりにくいとは思うけども、洒落て軽妙でユーモラスな話、というくらいのノリで書かれた「モダン小説」だと思う。そこらへんちょっと今は伝わりづらい....なあ。
昼の世界、というのは主人公の「司法官試補」が示すような小市民の世界、夜の世界というのは乱歩風の高等遊民の探偵作家と庶民のロマンの世界...そう読んじゃうといささか、つまらないけども、ハイパーモダンな「工場趣味」みたいな美意識が窺われるところもある。そう見ると少し面白いかな。「新青年」のモダン趣味が如実に反映された小説には違いない。

評者今回は講談社大衆文学館で読んだので、「深夜の市長」だけの単品。そういえば昔、川島雄三監督の映画で「深夜の市長」って見たことがある。月形龍之介が「深夜の市長」って呼ばれる人格者のギャング役の、暗黒街もの。本書とはあまり関係ない?

No.1 4点 ボナンザ
(2018/03/03 08:52登録)
独特の雰囲気はあるが、あまりものを詰め込んだ感は否めない。
特に表題作は無駄に長い。

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