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ミステリの祭典

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破門
疫病神シリーズ

作家 黒川博行
出版日2014年02月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 あびびび
(2014/08/23 23:19登録)
疫病神シリーズ。高村薫さんの「大阪弁の会話を書かせたら右に出るものはいない」との評はまったくその通りで、今回もスピード感ある軽妙な喋りで独特の世界を作っている。

今まで疫病神シリーズはすべて読んでいるが、まったく筆力が落ちていないし、裏社会を知り尽くしているような物語の進行は誰もまねできないと思う。

kanamoriさんが書かれたように、直木賞はシリーズナンバーワンの「国境」で受賞していたはずだが、「人間が書けていない」とか、「抜群におもしろいが、文学賞としてはどうか」などと、高尚な選考作家が目の敵のように落としてきた。北方謙三さんが、「国境のころから強く推していたから、今度の受賞でほっとした」というのも同感である。

次の作品が待ち遠しい。

No.1 6点 kanamori
(2014/08/22 19:00登録)
映画製作の出資金を持ち逃げされたヤクザの桑原と堅気の二宮は、詐欺師を追ってマカオへ飛ぶ。標的の身柄を押さえたのもつかの間、詐欺師を裏で操る男が本家筋の組幹部と分かり、事態は組同士の修羅場に発展する---------。

腐れ縁の桑原と二宮のコンビによる”疫病神”シリーズの第5弾。本年上期の直木賞受賞作品。
ヤクザ社会を背景にしたクライム小説ですが暗さは一切なく、例によって2人のドツキ漫才さながらの関西弁のやり取りで、物語は軽快なテンポで展開されていく。リーダビリティは抜群で面白かった。
しかし、マカオのカジノのシーンはあれだけ詳しく書く必要があったのでしょうか?取材費で黒川さんが楽しんだだけのようなw

余談ですが、現在の直木賞選考委員10名のメンツを知ってちょっと驚いた。ミステリ畑出身者が過半数を占めている(しかも推理作家協会の理事長経験者が3名)。さらには委員の東野圭吾、宮部みゆき、桐野夏生、高村薫各氏は黒川さんよりたぶん作家デビューは後でしょう。これは直木賞は必然だわ。というか、「国境」か「悪果」でとっくに獲っていておかしくない、むしろ遅いぐらい。

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