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ミステリの祭典

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もう教祖しかない!
別題『リーマン、教祖に挑む』

作家 天祢涼
出版日2014年07月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2020/02/05 22:47登録)
寂れた団地で人々の心の隙間を埋めるように広がる新宗教“ゆかり”。大企業スザクに勤める六三志は、自社の顧客を守るため、教団潰しを命じられた。ところが若き教祖・禅祐は、宗教を用いて金儲けをたくらむ頭脳派。信者の前で正体を暴こうとする六三志の告発をかわしてしまう。教団の存亡を賭け、どちらが住民の支持を得られるのか、激しい心理戦が始まった!気鋭の放つ傑作長編ミステリー。
『BOOK』データベースより。

本格とは言えないですが、一応広義のミステリには含まれるでしょう。
教団側とスザク側の直接対決のシーンは少ないものの、両者の火花散る激突が読んでいてワクワクします。良いですね、気分が高揚してきます。カリスマ性の強い教祖禅祐と、一介のサラリーマンでありながら熱血な面と頭脳明晰な面を持ち合わせる六三志の心理戦。それに加えて、キーパーソンとして禅祐の妹桜子やスザクの会長朱雀慶徳の存在も見逃せません。又敵か味方か分からない橘真理佳も神出鬼没でいい役どころを演じています。その他新たに信者となった高齢者稲葉や若者斎藤、六三志の頼りない上司小山内、部下の松山などキャストは豊富で、それぞれきっちり性格や人となりが描き分けられています。その辺りも高評価に繋がりますね。

この新興宗教対大企業の図式だけでも読み応えがあります。特に最後の勝負の場面はスリルと緊迫感を味わえます、更に当然ミステリ的な仕掛けも施されており、只では済まない結末にも注目したいところです。
おそらく好き嫌いが分かれるタイプの作品だと思いますが、個人的には何故もっと話題にならなかったのか不思議なくらい気に入っています。

No.1 4点 蟷螂の斧
(2015/02/15 19:21登録)
「BOOK」データベースより~『老朽化した銀来団地で急速に広がりを見せる新宗教“ゆかり”。大手流通企業スザクのセレモニー事業部で働く早乙女六三志は、顧客との生前葬儀契約を守るべく、教団潰しを命じられた。ところが、同世代の教祖・藤原禅祐は訴える。「今や若者は、社会や成功者にとって搾取の対象でしかない」「そんな我々が逆転するには、もう教祖しかないのです!」そして両者は、“ゆかり”の存亡を賭けてある勝負に挑むことに―』~

コンゲーム風な作品で、ミステリー度は薄い。結末も予想範囲内でした。ドタバタ調にした方が楽しめたかも。

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