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ミステリの祭典

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終わりの感覚

作家 ジュリアン・バーンズ
出版日2012年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 猫サーカス
(2018/03/01 18:27登録)
2011年英ブッカー賞受賞作。語り手のトニーは60歳を過ぎ、離婚をはじめ人生の挫折をたっぷり味わっている。前半は、初めての交際相手ベロニカを中心に、青春時代が生き生きと回想される。友人のエイドリアンにベロニカを奪われてしまったことも、その恨みも、エイドリアンの突然の自殺も、よくある青春の苦いエピローグと読めるでしょう。しかし、ある女性がエイドリアンの日記と現金500ポンドをトニーに遺贈したとの連絡が弁護士から入り、物語は一気に緊張する。日記はベロニカの手元にあり、彼女は頑なに引き渡しを拒む。なぜなのか?トニーは大きな謎を突きつけられ、やがて知った真実に打ちのめされた。人生の折り返し点を過ぎた人には、主人公の痛みと後悔が胸に突き刺さるでしょう。悲哀漂う美しい小説。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2014/07/02 12:09登録)
裏表紙より~『穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。』                                60代になった主人公トニーの青春の回想録で、純文学的な作品でした。前半はイギリスの60年代の若者の性意識を中心に描かれています。それは日本と同じようなものだったので逆に驚きました(笑)。哲学的な言い回しがありますが、あまり気にせずに読むことができます。後半はミステリーらしくなり、遺贈されるはずの友人エイドリアンの日記を元恋人ベロニカは渡そうとしません。ベロニカと会うのですが「あなたは、昔と同じで何もわかっていない」といわれ、無視され続けるのです。なぜベロニカの母親が日記を持っていたのかの謎がラストで明かされます。殺人のない作品もたまにはいいのかも。

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