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ミステリの祭典

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養鶏場の殺人/火口箱

作家 ミネット・ウォルターズ
出版日2014年03月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 測量ボ-イ
(2025/10/30 16:51登録)
著者の作品を初めて拝読。
2編の中編からなります。
「養鶏場の殺人」と「火口箱」

一般的な評価は 前者<後者のようですが、
個人的には 前者>後者かな。
前者は登場人物が少なくて本当に読みやすい。
最後は冤罪をにおわせる内容でしたね。
後者はボリュームの割に登場人物が多い(なのに
登場人物表がない)。また時制をコロコロ変えて
いて、国内作品ならともかく翻訳ものでこれだ
と話しについていけない 笑
でもついていけた人なら、こちらの方が高評価
なのでしょう。

採点はこの2作品の平均で。

No.2 6点 nukkam
(2016/01/01 08:57登録)
(ネタバレなしです) 2つの中編を収めて2013年に出版された中編集で、ウォルターズ入門として好適と評されていますがなるほどと納得しました。2006年発表の「養鶏場の殺人」は1920年冬に出会った男女が恋仲になり、しかし4年後に女性が謎の死を遂げるという実際に起こった事件を題材にしたもので、味気ないノンフィクション小説だろうと思ったらいい意味で裏切られました。2人の主人公の心理を丁寧に描写し、悲劇的破局に向かってじわじわとスリルが盛り上がり、大変読みやすいサスペンス小説でした(最後の4ページだけ作者による犯罪ドキュメントタッチになっていますが)。1999年発表の「火口箱」は本格派推理小説です。登場人物も多く、社会問題まで提起している上に結末の意外性もねらった感があって長編並みに濃厚な内容の作品。しかし何度も過去と現在を入れ替えているプロットはさすがに技巧に走り過ぎで、無用に読みにくくしたとしか思えません。もっとも読解力のない私がそう思っているだけのようで、世間一般の評価はおおむね好評です。

No.1 6点 HORNET
(2015/02/28 15:58登録)
 読みやすさなら「養鶏場の殺人」、ミステリとしての面白さなら「火口箱」。
 「養鶏場の殺人」はイギリスで実際に起きた殺人事件についての作者の推理が描かれている作品と言えばよいだろう。それも1990年代に起きた事件ということで、現代にも通じる人間の感情が描かれていて読みやすい。
 「火口箱」は閉鎖的なムラ社会の海外版のような話。事件の真相解明だけでなく、今にもまだあるらしい人種による同族意識、敵対意識の様相が作品の主要な要素になっていて面白い。終末はそちらのこともよい方向に向かう結末で、読後感もよかった。

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