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ミステリの祭典

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八ヶ岳「雪密室」の謎
笠井潔編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2001年03月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2024/03/16 12:53登録)
 本書だけでは完結せずネットも利用した企画。
 しかし、解答編読者公募の発表ページは版元(原書房)のサイトから削除されてしまった模様。辛うじて、入選作を筆者御本人がアップしているものを発見(「すべてを解き明かした(のか?)者の手記」)。こういうのはタイミングを逃すと今一つ楽しめないなぁ。

 作家本人が登場する小説は、作家が自身をどのように捉えているか自意識の発露と言う点で興味深い。
 勿論そのように読まれる前提で大なり小なり装飾が施されてはいるのだろう。とはいえ、そこには「このように思われたい」との自意識も反映されているわけでやはり興味深い。
 勿論そこまで深読みされる前提で大なり小なり装飾が施されてはいるのだろう。とはいえ、そこには「『このように思われたがっている』と深読みされたい」との自意識も反映されているわけでやはり興味深い。
 勿論そこまで深く深読みされる前提で大なり小なり装飾が施されてはいるのだろう。とはいえ、そこには「『「このように思われたがっている」と深読みされたがっている』と深読みされたい」との自意識も反映されているわけでやはり興味深い。
 勿論……

No.1 6点 メルカトル
(2014/04/09 22:43登録)
再読です。
スキー好きのミステリ作家と編集者を集い、作家の笠井潔が主宰する第4回スキーツアーで遭遇した密室(殺人ではない)事件。
手記によると1998年1月17日、この日は記録的な大雪で都内でも20cm以上積もったそうだ。車3台と列車に分かれて八ケ岳に向かった一行だが、道中ちょっとしたアクシデントに見舞われながらも、何とかロッジに到着。その後鍵を部屋に置いたまま施錠せずに買い物に出かけ、帰ってきたら鍵がかかっていたという。勿論、鍵は部屋に置かれたままだった・・・。
問題編となるメインの手記は笠井潔、二階堂黎人、編集者の布施謙一が、それを補う形で、我孫子武丸、桐野夏生、貫井徳郎がそれぞれの立場で手記を載せている。また回答編に挑んでいるのは、鯨統一郎、柄刀一、霞流一(一が多いな)、斎藤肇、喜国雅彦(漫画家)の錚々たる面々。喜国以外の解答者は、ツアーとは関係ない人々である。
しかし、この問題編がどこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのか全く分からないのである。上手く読者を煙に巻いている感じだが、それぞれの手記に矛盾はなく、キッチリと整合性は取れている。おそらくは大半が実際に起こったことを元に話は綴られているのだとは思うので、妙にリアリティがある。しかも、ご丁寧に何枚もの現場の写真を掲載しており、とても作り話とは思えない。
気になったのは、回答編の密室トリックが同じようなパターンに偏ってしまったこと。致し方ないとは言え、もう少しいろんなバリエーションがあっても良かったのでは、と思った。って言うか、誰かこれ読んでる?埋もれちゃって。

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