home

ミステリの祭典

login
ZOKU
Zシリーズ

作家 森博嗣
出版日2003年10月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 Tetchy
(2019/02/03 22:53登録)
さてこれは森版『ヤッターマン』とも呼ぶべき作品か。

犯罪にまでには至らない被害の小さな、しかし見過ごすには大きすぎる悪戯を仕掛けるZOKUとそんな悪戯に真面目に抵抗し、阻止せんと追いかけるTAI。
それは「ヤッターマン」における、ドロンボー一味とヤッターマンを観ているかのようだった。

さてそんな「まじめにふまじめ」を行うZOKUのメンバーは、黒幕の黒古葉善蔵にロミ・品川、ケン・十河、バーブ・斉藤で構成されており、プライベートジェットを根城としている。
一方「ふまじめをまじめ」に阻止しようとするTAIは白い機関車を基地にしており、木曽川大安を所長に、揖斐純弥、永良野乃、庄内承子が主要メンバーである。

木曽川と黒古葉はお互い実に親しい幼馴染でいがみ合っていない。寧ろ顔を合わせた時にはお互い談笑する仲だ。昔から悪戯好きだった黒古葉とそれを真面目な木曽川が少年時代から尻ぬぐいしてきた仲である。つまりこれは2人の大富豪が日本全国を舞台に繰り広げる壮大なお遊びなのだ。

一大財を成し、遊ぶお金と自由な時間を手に入れた2人が始めたのは日本全国を巻き込んだ正義と悪の対決ごっこ。こんなワンアイデアから生まれた本書は稚気に満ちていて実に愉しい読書の時間を提供してくれた。

そして作中に出てきたZOKUの数々の悪戯は恐らく森氏が日ごろから想像している「やってみたら面白い事」の数々であるに違いない。大人になって出来なくなったこれらの悪戯、いや大人にならないとできないが実際やれば逮捕されてしまうから出来ない悪戯を森氏はZOKUの面々に託したのだろう。

幸いにしてこの後もシリーズは続き、この憎めない輩たちと再会する機会があるようだ。次作を愉しみに待つとしよう。

No.1 6点 ∠渉
(2014/02/10 16:43登録)
滑稽な秀作ですね。そんな作品なかなかない。けど結構鋭い視点も持ち合わせていて面白い。ZOKUという悪の悪戯組織とそれに立ち向かうTAIという組織の攻防が描かれているけれど、その関係性が面白い。敵対する組織ではあるけども利害関係が明確な両者が存在するから、わけのわかんない組織なんだけど存在価値を見出している。その関係を良く表した最後のオチは最高に滑稽で秀逸。こんな感じで人って生きられるんだよなぁと、しみじみ。佐久間真人さんの挿絵もいいですね。クールです。

2レコード表示中です 書評