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ミステリの祭典

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本格ミステリ・ディケイド300

作家 事典・ガイド
出版日2012年06月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2022/05/12 23:09登録)
ゼロ年代デビュー作家による書き下ろしミニエッセイ。映像からアニメ・コミック、ゲームのゼロ年代を俯瞰するコラム。作家ガイド付き索引。
『BOOK』データベースより。

大変良く出来ました。花丸をあげましょうね。2001年から2010年までの十年間の国内本格ミステリ総決算。
数えてみたら300冊中既読だったのは114冊でした。如何にも中途半端な読者の私でも、タイトルを知っているけれど中身は知らないものや、中には全く聞いたこともないものもあり参考になりました。しかし、だからと言って即これは読みたいと思うような作品はそれ程ありませんでしたね。やはり自分好みの作品にはある程度手を付けていたという事になりそうです。或いは入手困難で読みたいけれど、諦めている作品とかですね。

内容としてはあらすじ半分解説半分って感じでしょうか。これだけの数ですから、どうしても微に入り細を窺つ訳には行かないのはやむを得ないです。それでも十分言いたいことは伝わってきました。勿論ネタバレは皆無です。私は最近になって、例えば「この作品は叙述トリックを使用しています」と書いただけで既にネタバレだと思うようになりました。その意味でも細心の注意が払われています。
これは本格ミステリではないだろうとか、何故これが入っていてあれが入っていないのかとか、あの作家の作品はネームバリューに比して取り上げられすぎじゃないかとか、色々疑問に思うところもありましたが、飽くまで私見ですので仕方ないんでしょう。万人に認められる300冊にするのは至難の業でしょうから。

No.1 7点 Tetchy
(2013/12/07 01:55登録)
2001年から2010年の10年間に刊行された本格ミステリを俯瞰するという本書はいわゆる“ゼロ年代”の本格ミステリとはどんなものだったのかを振り返るのに最適の書である。特に感じたのはそれぞれの年で取り上げられている作品数が異なることだ。これはつまり頭数を揃えて無理矢理に標準作やちょっと毛色の変わった物を取り上げることをせずに、その年で語られるべき作品のみを取り上げるという意思の表れであろう。

全て読み終わった感想は、もう少し掘り下げが欲しかったというものだ。
1ページに2作を掲載するという構成ではどうしても語りたい内容に届くまでに終わってしまう感があり、充実感に一歩届かなかった。本書ではその年の最も重要な1作と思える作品について1ページを割いて語っているが、私の個人的な感想を云えば、最低各作品1ページを割き、重要な作品については見開き2ページで存分に語る、『本格ミステリ・ベスト10』方式にしてほしかったのが本音。

今までガイドブックの類を読めば、読みたいと思った作家が増えていったのだが―それが今の私の積読の山を築いているのだが―本書ではそれがなかったのが正直寂しい。これは私の読書範囲が狭小になりつつあるのか保守的になりつつあるのか。いやそうではなく、やはりこれは食指が伸びるほどの作品がなかったのだと思いたい。

もっと刺激的かつ読書意欲をそそるガイドブックを探偵小説研究会には期待したい。

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