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ミステリの祭典

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メグレ最後の事件
メグレ警視

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1978年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点
(2018/06/17 09:11登録)
 これを酷評された事でシムノンが全ての小説から筆を絶ったいわくつきのメグレ物。気が差したのかその批評家は断筆後のシムノンを直後にヨイショしてます。
訳者の長島良三さんもあとがきとは別の場所で「後半は駆け足でストーリーだけを追っていく感じ」とかおっしゃってます。まあそういう面もあります。
 でも後期メグレの中では割と好きな作品です。前作「メグレと匿名の密告者」がパッとしなかった分(読んだ中では第77作「メグレの失態」と並んで最低クラス。)持ち直したとすら思います。これで終わりなのは残念至極。
 警視総監に司法警察の局長就任を打診されたものの気乗りせず、デスクに並べたパイプを弄って黙々と遊ぶメグレ。彼の元にある上流夫人が、失踪した夫の捜査を依頼しにやってきます。彼女が精神の均衡を失いかけているのはその時点で分かります。
 徐々に捜査を進めていくうちに描かれる、この夫人の肖像が本編の見所。第96作「メグレと殺人予告状」に出てくる女性像をさらに徹底した感があります。頽廃したムードとある種の哀れさが全編を覆う作品です。

No.1 5点
(2013/11/20 22:27登録)
邦題は、結局シムノン最後の小説(その後も回想録なんかはかなり書いていますが)だからというだけであって、内容とは関係ありません。原題を直訳すれば「メグレとシャルル氏」ですが、事件の発端となる失踪した公証人の名前は全然違うし、どこでシャルル氏は出てくるんだろうと首をかしげさせられます。まあ捜査を始めてみると、すぐにそれは判明するのですが。
半分ぐらいのところで死体がセーヌ川から発見されますが、その時期に発見されるのは完全な偶然で、これだけはご都合主義的な展開かなあという感じ。メグレに調査依頼に来た公証人夫人が個性的な人物として描かれ、事件に何らかの関わりがありそうだということは最初から予想がつきます。結末の意外性を期待すべきタイプの作家ではないので、それはそれでいいですし、夫婦間の葛藤はさすがですが、真相には少々安易なところが感じられました。

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