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ミステリの祭典

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短刀を忍ばせ微笑む者
ナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ 番外編

作家 ニコラス・ブレイク
出版日2013年07月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2016/01/23 23:32登録)
(ネタバレなしです) 1939年発表の本書はナイジェル・ストレンジウェイズシリーズ第5作と紹介されることも多いですが、主人公はナイジェルの妻ジョージアです。ナイジェルはほとんど登場せず、さりとて裏で暗躍していた様子もなくシリーズ番外編と言うべき作品だと思います。第二次世界大戦の直前に書かれたと思われ、秘密組織の黒幕探しの冒険スリラー小説となっています。謎解き要素がほとんどないのはまだしも、捜査の進展が場当たり的のため前半の展開がだらだら感が強いのは作品の弱点と思われます。後半になるとジョージアに迫り来る危機描写でやっとサスペンスが盛り上がります。タイトルが(短刀が登場していないので)作品内容と合ってるのか意味不明でしたが、kanamoriさんのご講評の説明でようやく理解できました。この場を借りて御礼申し上げます。

No.1 5点 kanamori
(2013/09/16 23:41登録)
ナイジェルと妻のジョージアは、ちょっとした偶然からファシスト派の秘密結社が英国政府の転覆を謀っていることを知る。ロンドン警視庁の幹部であるナイジェルの叔父から要請を受けたジョージアは、敵のアジトへ潜入し黒幕の正体を探るが------。

「野獣死すべし」に続く探偵ナイジェル・ストレンジウェイズ・シリーズの5作目。といっても今作の主人公は、かつての有名女性探検家でもあるナイジェルの妻ジョージアで、しかも冒険スリラーという異色作。ナイジェルは最初と最後に登場するだけなのでシリーズの番外編と言っていい内容です。
”トミー&タペンス”のような割と明るい内容のものを想像していましたが、軽妙な部分もあるものの、大戦前夜の英国の実際の政治情勢をある程度踏まえた設定のため、意外とシリアスで、後半のジョージアに迫る危機的状況や逃亡劇はスリリングです。ただ、謎解きの要素はほとんどないので、それを期待して読むと失望するかもしれませんが。
なお、タイトルは「カンタベリー物語」からの引用で、結社の黒幕の人物造形を示唆したもののようです。

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