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ミステリの祭典

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不吉な休暇

作家 ジェニファー・ロウ
出版日1990年11月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 nukkam
(2014/09/01 16:26登録)
(ネタバレなしです) リンの谷のローワンシリーズやデルトラ・クエストシリーズなどのファンタジー小説を書いたエミリー・ロッダ(1948年生まれ)というペンネームの方がおそらく有名なオーストラリアの女性作家による1988年発表のデビュー作で、大富豪の娘で鋭い頭脳を持ち、弁護士の資格まで持っていながら見すぼらしい身なりをして冴えない容姿の(但し不美人ではないらしい)ヴェリティ・バードウッドを名探偵役にした本格派推理小説のシリーズ第1作です。ほとんど手掛かりらしい手掛かりのないプロットかと思って読んでいたら、実はあちこちに伏線が張ってあったという作者のテクニックに脱帽しました。探偵役の推理の鮮やかさとどんでん返しの連続を本格派ファンとして大いに堪能できました。

No.1 7点 kanamori
(2014/01/18 16:09登録)
シドニー近郊のアリス伯母さんの果樹園に今年もリンゴ摘みに集まった親類のテンダー家の一族とその友人たち。ところが血縁関係や男女関係の軋轢から不穏な雰囲気が漂いだし、翌朝、果樹園である男の変死体が見つかる-------。

素人女性探偵ヴェリティ・バードウッド(通称バーディ)シリーズの第1作。
小柄でメガネ、冴えない風貌のテレビ局のリサーチ担当職ながら、実は大富豪の娘で弁護士資格を持つ頭脳明晰の女性というバーディの属性がユニーク。二転三転の末、終盤の80ページにわたり繰り出されるバーディの推理の開陳シーンがまことに圧巻のひとことです。クイーン流のロジックというより、人間観察による洞察力はミス・マープル風で、舞台設定とともにこの推理法からも”豪州のアガサ・クリスティ”と呼べるでしょう。
難点は、登場人物が多くひとりひとりの造形を丁寧に描いているために、かなりの長尺になっている点。トリック中心ではなく、人物のちょっとした仕草や言動のなかに、伏線や手掛かりを仕込むタイプのミステリなだけに止むを得ないところもありますが、一気に読み通せないので前段に張られた伏線を憶えていないところがあった。

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