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ミステリの祭典

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ネメシスの契約
向井俊介シリーズ

作家 吉田恭教
出版日2013年07月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2023/06/03 12:50登録)
 現在進行形の事件はともかく、過去の事案の再調査を始めた途端に新しい手掛かりが都合良くポロポロ出て来る。事件当時は真面目に調べてなかったのかと失笑を禁じ得ない。
 最後の銃撃事件(=ダミーだけど)は必要? 別にその人が疑われていたわけではない。寧ろトリックが露見したせいで犯人も特定されている。余計なことしなきゃ良かったのに。
 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞からデビューしただけあって島田荘司系のトリックだが、ストーリーの不自然さまで真似しなくてもいいんだってば。

No.1 5点 nukkam
(2021/07/23 21:21登録)
(ネタバレなしです) 2013年発表の向井俊介シリーズ第2作の本格派推理小説で、前半は厚労省の調査官(俊介)の調査、警察の捜査、新聞記者の調査などが手堅く描かれていますが謎がどんどん積み重ねられてどうやって収拾するのだろうと読者はやきもきします。この展開、私は阿井渉介の列車シリーズを連想しました。あのシリーズほどには派手な謎の連発ではありませんが、本書でも心筋梗塞にみせかけた殺人はどんなトリックが使われたのか、犯人がすぐに判明し犯人の自殺で解決したと思われる首切り殺人も実は未解決なのでは、スタンガン強盗事件で反撃されるかもしれない屈強な男を2人も襲ったのはなぜか、殺された被害者と殺されてもおかしくないのに殺されなかった人物はどこに違いがあるのかなど実に多彩な謎が提供されます。トリックも多彩で、第7章で明かされるトリックは感心しましたし、第8章で明かされるトリック(というか凶器)は苦笑ものでした。人間関係と動機が極めて複雑なのも列車シリーズを連想させますが、これだけの死者を出しておきながら「簡単に人など殺せるはずもなく」などとはちょっと説得力に欠けるように感じますけど。まあこれだけ詰め込んだ内容の力作ですから、作者も色々突っ込まれることは覚悟しているかもしれませんが。

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