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ミステリの祭典

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かまきり

作家 ユベール・モンテイエ
出版日1964年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2021/11/27 19:14登録)
書簡体ミステリって、短編だと珍しくもないけど、長編は珍しい。
本作は書簡やら日記やら報告書やらだけでできたミステリだから、技巧的と言えばフランスらしい技巧派の上に、書簡体小説の本場だよね、フランス。

で、大学教授の後妻に収まった悪女が、信託財産目当てに前妻の子を殺し、さらには夫も、夫の助手を巻き込んで完全犯罪を企む....そこに割って入ったのが、助手の妻。助手の妻も一枚噛んで、見事完全犯罪達成! ...でも?

という話。なので教授の妻の悪女と、それに刺激されてなのか、善良な妻の仮面をかなぐり捨てて、悪女度を高めていく助手の妻の「悪女対決」が読みどころ。で、書簡体や日記だから、いわゆる「信頼できない語り手」になる。実際、オチがオチで信用していいのかよくわからないところもある。しかも「悪女対決」だから、表面上は丁寧だけども底意地悪くエゲツない当てこすりが読みどころ。

女子のケンカって、こう、やるんだよ。

No.1 6点 kanamori
(2013/06/15 11:57登録)
保険金目的で大学教授である夫の殺害を謀る後妻と、その愛人、愛人の結婚相手で大学教授の秘書でもある女性という、4人の男女の関係が卍模様にからまった、いかにもフランス・ミステリらしい作品。

タイトルから、てっきり男を標的にした”悪女モノ”のクライム小説だと思っていましたが、一般に言う悪女ものとはちょっと違って、物語が後半に入ってから予想外の展開を見せるプロットがなかなかユニークだと思います。これを肩透かしと言う人もいるかもしれませんが。
終盤に二人の女性の間で交わされる、それぞれの思惑が見え隠れする手紙の文面が秀逸です。
やはり”女性は怖い”という、わかりきった結論になりますねw

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