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ミステリの祭典

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メグレ夫人の恋人
メグレ警視

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日1978年06月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 クリスティ再読
(2017/06/08 23:44登録)
メグレ親父は機嫌が悪いな...困ったものだ。
メグレ式ってのは考えない、というか考えていることを見せない。その代りに事件の感情的な理解の方にポイントのある捜査法だから、短編の場合にはそこまでの余裕がなくて...になりがちなんだけど、その代わりにメグレの感情自体がメインになるような書き方だってアリだ。「メグレの失敗」なんて事件の中心人物に対する感情的な反撥が小説の中心になってるくらいのものだ。また珍しくトリックのある「開いた窓」とか、やはり長編とは少々組み立てや小説としての発想が違うのが、短編集としてのバラエティになっている。
出来としては中編の「メグレ夫人の恋人」と「殺し屋スタン」が世評通り読み応えあり。個人的にはメグレ夫人のキュートさにちょっとヤられている。

No.1 7点
(2013/04/23 23:24登録)
原書では『メグレの新捜査録』として出版された短編集の中から半分ぐらい選んで翻訳されたものです。なお、残り半分は『メグレの退職旅行』に収録されています。
全体としては、どちらも60ページ近くある表題作と『殺し屋スタン』の間に、短い作品7編をはさんだ構成になっています。読みごたえのあるのはやはり長い2編で、特に翻訳者長島良三氏のお気に入り『殺し屋スタン』は評判に違わずおもしろくできています。この2編もそうなのですが、メグレものの長編よりも結末の意外性に気を配った作品が多いというのが、妙なところかもしれません。徹底的な尾行サスペンスの『死刑』でも、容疑者の法律を盾にとった行動とその裏をかくメグレの策略が意外性を出しています。考えてみると、シムノンにはメグレものでないパズラー系の短編集がいくつもありますが、短編向きの謎解きアイディアが得意なのかもしれません。

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